【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈2〉
そのまさかの内容に、ライオネルの顔が真っ赤に染まる。
「なっ……なっ……何を……!」
当然、ライオネルは断った。コルセットなんて締められないよ! ――と。
けれどアメリアは承知しない。
『大丈夫。紐を引っ張るだけだから』
「……いや……だって……コルセットって……異性には見せないものだろう?」
『それを緩めたのはあなたでしょう?』
「……でも」
「――ね、お願い。こんな姿、他の誰にも見せられないわ」
「……っ」
ここまで言われては観念するほかない。
ライオネルは覚悟を決めて、アメリアの背後に回った。
長い髪の隙間から覗く白いうなじに、どうしようもなく反応してしまいそうになる自身を押さえつけ、背中の紐に手を伸ばす。
「――いい? 締めるよ。少しでも苦しくなったら言ってね」
アメリアは壁に両手を付き体重をかける。
それを合図に、左右の紐を同時に引っ張るライオネル。
「……これぐらい?」
首を横に振るアメリア。ライオネルは再び腕に力を込める。
「じゃあ……これでどう――かな」
けれどアメリアは頷かない。
「ええ……もっと?」
本来ならば脚を使って締めるもの。
けれど異性の、ましてアメリアの夫でも恋人でもないライオネルには脚を使うなどという選択肢は存在せず――アメリアがいいと言うまで相当な時間を要したのは、言うまでもない。