【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
そして始まる、私たちの物語! 1話
翌朝、いつものように身支度と整え(長距離の移動だからドレスは楽なものを選んだ)、お母さまからいただいたブローチを身につけ、お父さまからいただいた懐剣を忍ばせて食堂まで歩く。
身支度を手伝ってくれたメイドたちは、寂しそうに微笑んでいた。
「――エリカお嬢さま」
メイドの一人が私の名を呼ぶ。
足を止めると、彼女は穏やかな笑みを浮かべていて、目にはうっすらと涙の膜が見える。
私がこの家から去ることを、寂しく思ってくれているのだろう。
「お嬢さまの幸せを、願っております」
「……ありがとう。お父さまたちを、よろしくね」
この前も同じようなことを言ったけれど、念押しするように伝える。
彼女たちは真剣な表情で、こくりとうなずいた。
――両親は使用人たちから慕われているから、きっと大丈夫。
食堂の扉を開けてもらい、自分の席に座る。お父さま、お母さま、レオンハルトさまがこちらを見たので、にこりと笑みを浮かべる。
「おはようございます」
意識して、明るい声を出した。すると、三人はそれぞれ挨拶を返してくれた。
「よく眠れたかしらぁ?」
「ええ。……と、言いたいところですが、ワクワクしてあまり眠れませんでした」
それは本当のこと。
私、物心がついた頃からこの家で暮らしていたから……
ここから離れることになるのは、ダニエル殿下と婚約したときに覚悟していたけれど、こういう形で離れるとは考えてもいなかった。だから、とても不思議な気持ちになった。
でもね、離れることになっても、後悔はないの。
私の好きな人と一緒に暮らせるのだもの。
お母さまも、レームクール家に嫁ぐとき、そんな感じだったのかな?
身支度を手伝ってくれたメイドたちは、寂しそうに微笑んでいた。
「――エリカお嬢さま」
メイドの一人が私の名を呼ぶ。
足を止めると、彼女は穏やかな笑みを浮かべていて、目にはうっすらと涙の膜が見える。
私がこの家から去ることを、寂しく思ってくれているのだろう。
「お嬢さまの幸せを、願っております」
「……ありがとう。お父さまたちを、よろしくね」
この前も同じようなことを言ったけれど、念押しするように伝える。
彼女たちは真剣な表情で、こくりとうなずいた。
――両親は使用人たちから慕われているから、きっと大丈夫。
食堂の扉を開けてもらい、自分の席に座る。お父さま、お母さま、レオンハルトさまがこちらを見たので、にこりと笑みを浮かべる。
「おはようございます」
意識して、明るい声を出した。すると、三人はそれぞれ挨拶を返してくれた。
「よく眠れたかしらぁ?」
「ええ。……と、言いたいところですが、ワクワクしてあまり眠れませんでした」
それは本当のこと。
私、物心がついた頃からこの家で暮らしていたから……
ここから離れることになるのは、ダニエル殿下と婚約したときに覚悟していたけれど、こういう形で離れるとは考えてもいなかった。だから、とても不思議な気持ちになった。
でもね、離れることになっても、後悔はないの。
私の好きな人と一緒に暮らせるのだもの。
お母さまも、レームクール家に嫁ぐとき、そんな感じだったのかな?