【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
「王子の妃になるという、プレッシャーから解放されて幸運だとは思うのよ? それに、殿下から婚約破棄を宣言されたのだから、私に求婚する人はいないでしょうし、ゆっくりと相手を見つけるつもり――……」

 ふと、両親が眉を下げていくことに気付いて、こてんと首を傾げた。

 お父さまがパチンと指を鳴らす。すると、白髪の執事が大量になにかを抱えて近付いてきた。このレームクール家の家令であるセバスチャンだ。歳は確か六十代……だったはず。

「これは?」
「エリカと見合いをしたいという人たちの、釣書だよ」
「――えっ? 昨日の今日で!?」
「そうよぉ。昨日のパーティーのあとから、ザックザクとねぇ!」

 エリカったらモテモテねぇ、なんて微笑まれたが、私は釣書の多さに驚き、それから首を左右に振る。

 ……どうしてこうなった……!

「それにしても、あのポンコツ殿下に惚れる人もいるのねぇ」
「……お母さま、お言葉が……」
「いいのよぉ。エリカの努力も無視して、他の女に走るような男に、エリカは勿体ないわぁ。ねえ、あなたもそう思うでしょう?」

 お父さまに同意を求めるお母さま。お父さまはこちらに視線を向けてから、ゆっくりと首を縦に動かした。

「セバスチャン、あいつからのは?」
「こちらでございます」

 すっと一枚の釣書をお父さまに差し出す。

 お父さまは中身を確認してから、私に差し出した。
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