【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
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そして翌日。
メイドたちが張り切って私を着飾ってくれた。
濃紺のドレスに金色の刺繍。まるで夜空の星々を描いているようなドレス。
二の腕まである白色の手袋に、きらめく青いサファイアのイヤリングとネックレス。さらにきれいにメイクまでしてもらって、卒業パーティーよりも気合入っているんじゃない? ってくらいの出来栄え。
「みんな、気合入れてくれてありがとう」
メイドたちの声をかけると、彼女たちは私を見て、同時に首を横に振った。
ここにいるメイドは五人。全員が同時に動く姿を見て、小さく微笑みを浮かべる。
「髪型はアップにしましょう。お嬢さまのうなじのラインは、世界一ですから!」
「あら、そうかしら? じゃあ、お願いするわ」
メイドは「お任せください!」と明るく言って、私の髪をまとめた。
アップシニヨンにして、パールの髪飾りをつける。
出来上がった姿を鏡で確認すると、とてもきれいな『私』がいて……毎度この感覚には慣れないわねぇと、感嘆の息を吐いた。
メイドたちにもう一度お礼を伝えると、彼女たちは嬉しそうに表情を綻ばせる。
私の準備が終わるのと同時に、扉がノックされた。
「お嬢さま、お客さまがいらっしゃいました」
扉の外からセバスチャンの声が聞こえた。私は一度大きく深呼吸をしてから、顔を上げる。
「ええ、今、行くわ」
「お嬢さま、楽しんできてくださいね!」
「ありがとう、がんばるわ!」