【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
「でしたら、いつか会いにいきましょう。師の暮らしている村の場所は存じておりますので」
「それは楽しみですわ」

 レオンハルトさまと一緒に旅をすることを想像して、笑みを浮かべる。

 だって、楽しそうなのだもの。

 彼とその村のことを話していると、あっという間に温室についた。

 温室の扉を開けて中に入ると、ふわりといろいろな花の香りが鼻腔をくすぐる。

「……これは、すごい……」
「我がレームクール家が誇る温室ですのよ」

 さっと扇子を取り出して広げ、口元を隠して微笑んだ。

 中には色とりどりの薔薇が咲き誇っている。

 もちろん、ただ咲かせているだけではない。

 この薔薇は精油にしたり、ジャムにしたりといろいろ楽しめるもの。

 濃厚な薔薇の香りはその人の印象を華やかにするし、ジャムにすれば美味しくいただくことができる。

 もちろんローズティーにしてもいい。

 つまり、レームクールの薔薇はなんにでも使えるということだ。

「……あの、エリカ嬢。どのようなアクセサリーがお好きですか?」

 温室の真ん中に、テーブルと椅子が用意されている。

 これは温室の花々を楽しむためにセッティングされたもので、私が生まれる前から置いてあるらしい。

 椅子に座り、真剣な表情を浮かべてそう問いかけるレオンハルトさま。

 思わず目を丸くしてから、言葉の意味を理解した。

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