【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
「なにかご用でしたら、いつでもお呼びください」
「ええ、そうするわ」

 メイドが一礼して去っていく。その姿を見送り、カップへと手を伸ばした。

 お茶を一口。

 喉が渇いていたから、水分が身体に広がっていくのを感じ、ほっと息を吐く。

 レオンハルトさまもお茶を飲み、なにかに気付いたように顔を上げた。

「これは……ローズティーですか?」
「はい。お口に合いますか?」
「こういうものはあまり飲んだことがないのですが……、思ったよりも、飲みやすいのですね」

 仕事中、どんなお茶を飲んでいるのかしら? いや、もしかしたらコーヒーかもしれない。

「良かった。ハーブティーには好みがあるので、レオンハルトさまのお口に合ったのなら、嬉しいですわ」

 見た目も香りも華やかなハーブティーだし、味に関しては本当に好みとしか言えないから……

 レオンハルトさまはクッキーに手を伸ばして、さくりと食べた。

 幸せそうに食べる人だなぁと、新しい発見に思わず口元が緩んでしまう。

 こうしてまったりとした時間を過ごすのも悪くないけれど、その前に必要なことを済ませないとね。

「レオンハルトさま、現実的なお話をしましょう」
「現実的な、ですか?」
「はい。レオンハルトさまは王都にいつまで滞在できますか? 私は学園も卒業したので、少し羽を伸ばしてからレームクール領に戻るつもりでした」

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