【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
 あ、という顔になったレオンハルトさま。

 学園を卒業したばかりだから、王都で少し羽を伸ばして、それから家族と一緒にレームクール領に戻ってそこでのんびりと恋を探す予定だった。

 ――でも、せっかくレオンハルトさまとお見合いしたのだもの。

 彼は、ダニエル殿下とは違い、私に対して真剣に向き合ってくれるんじゃないか、という淡い期待を抱いている。

 とくん、とくんと彼を見るだけで胸がときめくの。――やっぱり一目惚れなのかもしれない。

 私ってもしかして惚れっぽい女だったのかしら?

 領地に帰って、ゆっくりとダニエル殿下から受けた心の傷を癒して、次の恋はとびきり素敵な恋にしようと……そう考えていたのに。

「父に領主代理を頼んでいるので、長くて一ヶ月は王都にいられる予定です」
「まぁ、そんなに長く?」
「はい。これを機に、王都を見てこいと――そう、言われていたので。……ずっと、戦ってばかりだったので……観光でもしてこい、と」

 眉を下げて微笑む姿を見て、きゅっと胸が締め付けられた。

 フォルクヴァルツは魔物からも他国からも狙われやすい。

 フォルクヴァルツの防衛戦の話題は、たまに王都にも流れてきていたけれど、大体終わってからの情報だったのよね……

< 35 / 142 >

この作品をシェア

pagetop