【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?

初デート! 3話

 互いに向かい合うように身体を動かすと、レオンハルトさまが(ひざまず)いた。あまりに急なことに一歩下がってしまう。

 レオンハルトさまはそんなことを気にせず、私の手を自分の口元に近付けて、手の甲ではなく手のひらに唇を落としてから、顔を上げて真剣な瞳で口を開いた。

「どうか、オレとの結婚を真剣に考えてください」

 その真摯なまなざしを受け、瞳に吸い込まれそうだと感じた。――昨日お見合いをして、今日、プロポーズ……プロポーズなのよね、きっと。

 プロポーズをされるとは思わなかった。

 まだ、レオンハルトさまのことをなにも知らないに同然だけど――知っていきたいと、私の心が叫んでいる。

「……はい」

 たったの二文字。たったの二文字なのに、震えてしまった。

 レオンハルトさまはパッと明るい表情を浮かべる。

 その表情がとっても可愛くて、やはりときめいてしまう。

 そして、周りからヒューヒューと口笛と祝福の拍手をもらった。

 ――今、気付いたのだけど……このチューリップの花畑、結構人が多いわ!

 周りからの祝福の拍手と言葉に、顔に熱が集まっていく。

「ありがとうございます、エリカ嬢」
「……『嬢』はいりませんわ。レオンハルトさまと真剣に交際をしたいと考えておりますから。それに、お礼を伝えるのは私のほうです」
「では、エリカ。これからよろしくお願いいします」

 今度は手の甲に唇を落とすレオンハルトさま。

 私は心の中で、ちょっと、いやかなりキャパシティ―オーバーかな!? なんて思った。

 こんなふうにプロポーズされるとは思わなかったのだから!

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