【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
 ぽりつぽつりと教えてくれたことに、思わず目を大きく見開く。

「その、初デート、なので……」

 顔が真っ赤です、レオンハルトさま! 彼の赤面が私に移ったのか、それとも私の赤面が彼に移ったのか……どちらにせよ、互いに顔がこれ以上ないほど真っ赤になっちゃって、照れてしまう。

「……調べました……」

 レオンハルトも初デートだと思ってくださっていたのね……!

 そして、その初デートのためにこの場所を調べていてくれた、なんて……とても嬉しい。

 レオンハルトさまがそっと離れる。

 そのことにちょっとした寂しさを感じた自分に驚いた。

 ――うん、きっと私――彼のことを愛せるわ。

 彼のことを想うと胸がきゅんと締め付けられる。

 だけど、いやじゃないの。こんなふうにときめきを感じられるようになったことに、安堵もしているのよ。

「戻って、レームクール伯爵夫妻に報告しなくてはいけませんね」
「……はい」

 離れたと思ったら、レオンハルトさまは「失礼」と一言つぶやいてから、私のことを抱き上げた! お姫さま抱っこだ!

「れ、レオンハルトさま?」
「馬車に戻ります。せっかく了承をいただいたのですから、こうして歩かせてください」

 ヒュー、と誰かが口笛を鳴らした。私たちが抱きしめ合っているときには止んでいたのに……!

「お、重いでしょう……!」
「まさか! とても軽いですよ」

 さらっとそんなことを言えるなんて、イケメンはずるいわ……!

 レオンハルトさまは重さを感じさせない足取りで、スタスタと歩き、私を馬車まで運んでくれた。

 ……ヒールで歩いていたから、地味にきつかったのがバレていたみたい。

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