【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
「失礼いたします」
先程お茶を頼んだ執事が、メイドと一緒にお茶を持ってきてくれた。全員分のお茶を淹れ、お茶菓子もローテーブルに置くと、一礼して執務室から出ていく。
「……さて、その表情を見るに、良い報告かな?」
書類を机に置いて、両手を組み、そこに顎を乗せ、真剣な表情で問うお父さま。
レオンハルトさまは小さくうなずき、すくっと立ち上がると、お父さまに近付いた。
「レームクール伯爵令嬢から、結婚を真剣に考えていただく許可をいただきました。わたしたちのことを、認めていただけますか?」
私からはレオンハルトさまの後ろ姿しか見えなかったけれど、彼が緊張している様子なのはわかった。だって、声が硬い。
お父さまはしばらく黙り込み、それから口を開く。
「……うちのエリカはがんばりやでね。あのダニエル殿下の婚約者になったあと、とても……とても努力していたんだ。その努力もあの騒動で露と消えた。きみは、エリカのことを裏切らないと約束してくれるかい? これは、レームクール伯爵としての言葉ではなく、エリカの父親としての言葉だ。どうだい、フォルクヴァルツ辺境伯?」
お父さま……
……ダニエル殿下との婚約後、私が王族と並んでも見劣りしないようにと、努力を重ねていたことを知っていてくださった。
そして、それが露と消えたことも、お父さまの心を痛めていたのね。
お父さまに声をかけようとした瞬間、レオンハルトさまが言葉を紡いだ。
先程お茶を頼んだ執事が、メイドと一緒にお茶を持ってきてくれた。全員分のお茶を淹れ、お茶菓子もローテーブルに置くと、一礼して執務室から出ていく。
「……さて、その表情を見るに、良い報告かな?」
書類を机に置いて、両手を組み、そこに顎を乗せ、真剣な表情で問うお父さま。
レオンハルトさまは小さくうなずき、すくっと立ち上がると、お父さまに近付いた。
「レームクール伯爵令嬢から、結婚を真剣に考えていただく許可をいただきました。わたしたちのことを、認めていただけますか?」
私からはレオンハルトさまの後ろ姿しか見えなかったけれど、彼が緊張している様子なのはわかった。だって、声が硬い。
お父さまはしばらく黙り込み、それから口を開く。
「……うちのエリカはがんばりやでね。あのダニエル殿下の婚約者になったあと、とても……とても努力していたんだ。その努力もあの騒動で露と消えた。きみは、エリカのことを裏切らないと約束してくれるかい? これは、レームクール伯爵としての言葉ではなく、エリカの父親としての言葉だ。どうだい、フォルクヴァルツ辺境伯?」
お父さま……
……ダニエル殿下との婚約後、私が王族と並んでも見劣りしないようにと、努力を重ねていたことを知っていてくださった。
そして、それが露と消えたことも、お父さまの心を痛めていたのね。
お父さまに声をかけようとした瞬間、レオンハルトさまが言葉を紡いだ。