【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?

王城へ!

 ――正式に、王室に向かう日がきた。レオンハルトさまとも相談して、『婚約者(仮)』として彼もついてきてくれることになり、とても心強く思ったので自分の気持ちをそのまま伝えると、レオンハルトさまは照れたように微笑んだの。

 好みのタイプの笑顔って胸がきゅんっとするのね。

 冷静に分析できているのは、そうでもしないと落ち着いて話せないからよ。

 でも、やっぱり、行くのは気が乗らないわ。

 ちなみにあれから三日ほど経過している。そのあいだ、レームクール邸にレオンハルトさまと彼の仲間という護衛三人が泊まっているの。

 もちろん、フォルクヴァルツのタウンハウスもあるらしいのだけど、私の両親が『せっかくだから、仲良くなろう!』という理由で彼らを客間に引き止めたのだ。

 ――うちの両親、強引なところもあるのよね……

 護衛の人たちも良い人たちで、最初は恐縮していたようだけど、この三日ですっかり打ち解けた。

 それにしても、たった二週間と少し前の出来事とはいえ、私の心におもーくのしかかるダニエル殿下の『元婚約者』という称号。

 ほんっとうに気が重い……。だけど、招待状がある以上、行かなくてはいけないのよね。

「大丈夫ですか? エリカお嬢さま……」

 メイドが不安げに聞いてきた。

 小さくうなずくと、「無理はしないでくださいね」と心配そうに眉を下げるのを見て、気にしてくれる人がいるって幸せなことよね、と考える。

「ありがとう。今日は気持ちが強くなれそうなドレスにしてくれる?」
「かしこまりました」

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