【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
 それに、ダニエル殿下が望んだ婚約者ってことで、注目度も高かったし。

 王都で暮らしていると、どうしても注目を浴びてしまうのが、王族の婚約者のつらいところだった。

 婚約破棄もあれだけ派手にやったからね。どんな目で見られるのかしら、今回は。

 ……でも、レオンハルトさまと初デートをした場所では、視線……気にならなかったな。

 貴族のお茶会と一緒にしてはいけないとは思うんだけど……あれは別の意味で注目を浴びていたようなものだったけれど。

 レオンハルトさまは、そんな私の表情を見てどう思ったのか、軽く手を振ってからじっとドレスを見つめた。

「オレはそんなことを気にしませんよ。……そういえば、赤いドレスがお好きなんですか?」
「え? ああ……いいえ。これは気合を入れるために着ました」
「気合い?」
「王族の方々との謁見ですから!」

 自分を(ふる)い立たせるためのドレス。

 だからこそ、パッと見てわかるくらいの鮮やかな赤色にした。

 どうしてそんなことを聞いたのかしら? この赤色、お気に召さなかったのかしら……?

 でも、『綺麗』って言ってくださったし……そういえば、レオンハルトさまの好きな色も知らないわ。今度聞いてみなくちゃ。

 彼が私へと手を伸ばす。首をかしげると、そっと私の手を取って、手の子にちゅっと唇を落とした。

「れ、レオンハルトさま……?」
「今日、陛下たちとの謁見をがんばりましょう。終わればきっと、自由になれますから」
「…………はいっ!」

 そうよね、がんばらないと。

 ダニエル殿下との婚約は白紙になったのだし、レオンハルトさまは『婚約者(仮)』として私の隣にいてくれるもの。

 ――こんなに心強いことって、ある?

 大丈夫。私は――王族の方々と、きちんと向き合えるわ。
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