【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?

謁見 1話

 王城につき、両親たちとともに謁見の間へ。

 (おごそ)かに扉が開かれ中に足を踏み入れ、陛下たちの前まで歩き、(ひざまず)く。

「……顔を上げなさい」

 オイゲン陛下の言葉に、私たちは顔を上げた。

 陛下の隣には王妃殿下が座っている。

 そして、私たちの前に立ちはだかるように立っているのは、ダニエル殿下とアデーレだ。

 なんと彼らはこの謁見の間で腕を組んでいた。

 見せつけるような仲の良さアピールに、ため息が出かかった。なんとか(こら)えたわ。

 王妃殿下が私たちを見つめ、それから口を開く。

「お久しぶりですね、エリカ」
「ご無沙汰しております、デイジーさま」

 声をかけられた私は、王妃――デイジーさまへ挨拶を返す。

 デイジーさまは、少し安堵したように微笑んだ。

 デイジーさまがオイゲン陛下に視線を向ける。

 その視線を受け、小さくうなずいてから、オイゲン陛下が言葉を発した。

「今日は、報告があるとのことだが?」
「はい。我が娘エリカと、フォルクヴァルツ辺境伯がお見合いをし、現在結婚を前提に交際しております。エリカへの釣書はもう必要ありませんので、そのご報告にまい……」
「なっ! 婚約破棄して一ヶ月もしないうちに見合いだと!? エリカ、お前その男と浮気をしていただろう!」

 お父さまの言葉を(さえぎ)るように、ダニエル殿下が叫ぶ。

 よくもまぁ、そんな残念な考え方ができるわよね……。思わず、呆れた視線で彼を見てしまった。

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