【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
少し驚いたけれど、レオンハルトさまのことがこの王都にも伝わっているのだと考えると、彼は本当にすごい人なのだと改めて感じた。
「フォルクヴァルツ領には、いつ向かうのだ?」
「父に任せているので、もう少しは王都にいる予定です」
レオンハルトさまがそう答えると、陛下は「ふむ」と小さくつぶやいてから、もう一度フォルクヴァルツ領に向かう日を尋ねる。
「一ヶ月以内に」
その言葉に、アデーレがなぜかぎょっとしたように目を見開き、扇子を開いて口元を隠す。
「どうしてそんなにすぐ、王都から出ていこうとするんですか? あ、もしかしてダニエル殿下と婚約破棄をしたから……?」
耳に届いた言葉に、ゆっくりと、静かにため息を吐く。たぶん、彼女には聞こえていない。
彼女を見ると、ぎゅうっと胸を押し当てるようにダニエル殿下と腕を組んでいて、さてどう返答しようかしら? と考えていると、レオンハルトさまが口を開いた。
「フォルクヴァルツは遠いですからね。それに、善は急げというでしょう? わたしにとってエリカ嬢は『善』なので急ぎたいのです」
レオンハルトさまの言葉が、私の心に沁み込んでいくようだった。
こんなに私のことを望んでくれる方がいるなんて、なんて幸せなことなのかしら!
「ええっ? でも、そんなに急ぐ理由はないじゃないですか! レオンハルトさまも王都にきたばかりなのでしょう? もっとゆっくり過ごせば良いじゃあないですか?」
「――アデーレさま、私を王都から出したくないような言い方ですね」
「フォルクヴァルツ領には、いつ向かうのだ?」
「父に任せているので、もう少しは王都にいる予定です」
レオンハルトさまがそう答えると、陛下は「ふむ」と小さくつぶやいてから、もう一度フォルクヴァルツ領に向かう日を尋ねる。
「一ヶ月以内に」
その言葉に、アデーレがなぜかぎょっとしたように目を見開き、扇子を開いて口元を隠す。
「どうしてそんなにすぐ、王都から出ていこうとするんですか? あ、もしかしてダニエル殿下と婚約破棄をしたから……?」
耳に届いた言葉に、ゆっくりと、静かにため息を吐く。たぶん、彼女には聞こえていない。
彼女を見ると、ぎゅうっと胸を押し当てるようにダニエル殿下と腕を組んでいて、さてどう返答しようかしら? と考えていると、レオンハルトさまが口を開いた。
「フォルクヴァルツは遠いですからね。それに、善は急げというでしょう? わたしにとってエリカ嬢は『善』なので急ぎたいのです」
レオンハルトさまの言葉が、私の心に沁み込んでいくようだった。
こんなに私のことを望んでくれる方がいるなんて、なんて幸せなことなのかしら!
「ええっ? でも、そんなに急ぐ理由はないじゃないですか! レオンハルトさまも王都にきたばかりなのでしょう? もっとゆっくり過ごせば良いじゃあないですか?」
「――アデーレさま、私を王都から出したくないような言い方ですね」