【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
 過ごした時間が短いなんて、些細なこと。

 これからもっと長い時間を過ごすのだから、彼のことを知っていけると思う。

 あまりにもきっぱりと言ったからだろうか、ダニエル殿下とアデーレは、わなわなと拳を握って震えていた。

 そっと、レオンハルトさまが私の手を握る。

 それに気付いて彼を見上げると、彼は優しいまなざしで微笑んでくれた。

 ――ああもう、本当に、すっごく格好いい……!

 レオンハルトさまは、私から視線をダニエル殿下とアデーレに移動させる。お父さまと同じように目元を細め、自身の胸元に手を置く。

「――確かに、ダニエル殿下とアデーレ・ボルク男爵令嬢のおかげでエリカに出逢えたので……わたしも感謝しています。彼女との婚約を、白紙にしていただけた結果ですから」

 ダニエル殿下は、カッとしたように顔を真っ赤にさせた。

 アデーレはレオンハルトさまを憎々しげに睨んでいるし……いったい、なにがどうなっているのやら。

「ダニエル殿下はボルク男爵令嬢と婚約するのでしょう? エリカとはもう関係ないではありませんか。どうしてそんなに顔を赤くさせているのです? まさか、彼女が自分以外を選ぶわけがないと考えていた……なんてことはありませんよね?」

 煽ってる? 煽っているの? そんな爽やかな笑顔で?

 ああ、でも怒気が目に見えるようだわ……

 そんなところも素敵。

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