【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?
「なので、私はアデーレ嬢とは二人きりにならないように、そしてなにも口にしないことを決めたのです」
「口にしない?」
「なにを言っても、ダニエル殿下は彼女を庇うでしょう。そうなれば、悪役になるのは私です。私は、レームクール伯爵令嬢としての矜持を守りたかったのです」
ぎゅっとレオンハルトさまの手を強く握ると、彼は握り返してくれた。力強いその手の感触に、励まされるように心が強くなる。
「――ダニエル殿下。八年ものあいだ、あなたの婚約者として過ごした私から一言、よろしいでしょうか?」
「な、なんだ」
「――人を見る目を養ってくださいませ」
このくらいの嫌味は許されるだろう。
にこりと微笑んでみせれば、ぷるぷると怒りか恥辱か拳を握って震えていた。
「ほほほ、まさにその通りですこと」
デイジーさまが高らかに笑った。その笑い声に、ダニエル殿下は下唇を噛む。
「エリカ嬢、今度、お茶に付き合ってくれないかしら?」
「ありがとう存じます。ぜひ、お付き合いさせてくださいませ」
デイジーさまのお誘いに、私は頭を下げた。
ダニエル殿下の婚約者だった頃、デイジーさまとは数度お茶を一緒に飲んだ。
王族の一員になるのだから、恥をかかないようにといろいろ教えてくださったのよね。
「逃した魚は大きい、とはこのことかもしれんな……」
「口にしない?」
「なにを言っても、ダニエル殿下は彼女を庇うでしょう。そうなれば、悪役になるのは私です。私は、レームクール伯爵令嬢としての矜持を守りたかったのです」
ぎゅっとレオンハルトさまの手を強く握ると、彼は握り返してくれた。力強いその手の感触に、励まされるように心が強くなる。
「――ダニエル殿下。八年ものあいだ、あなたの婚約者として過ごした私から一言、よろしいでしょうか?」
「な、なんだ」
「――人を見る目を養ってくださいませ」
このくらいの嫌味は許されるだろう。
にこりと微笑んでみせれば、ぷるぷると怒りか恥辱か拳を握って震えていた。
「ほほほ、まさにその通りですこと」
デイジーさまが高らかに笑った。その笑い声に、ダニエル殿下は下唇を噛む。
「エリカ嬢、今度、お茶に付き合ってくれないかしら?」
「ありがとう存じます。ぜひ、お付き合いさせてくださいませ」
デイジーさまのお誘いに、私は頭を下げた。
ダニエル殿下の婚約者だった頃、デイジーさまとは数度お茶を一緒に飲んだ。
王族の一員になるのだから、恥をかかないようにといろいろ教えてくださったのよね。
「逃した魚は大きい、とはこのことかもしれんな……」