first date
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午後の忙しさのピークを過ぎて、喫茶モカの店内には静かなジャズミュージックと穏やかな時間が流れていた。ここでウェイトレスとして働いている私は、少しほっとした気持ちで客が去ったあとのテーブルを拭く。
「すいません」
その声に顔を上げて声の聞こえた方を見ると、店内の奥のカウンター席で男性客が手を挙げていた。私はテーブルを拭くのを中断し、エプロンのポケットからメモ帳とボールペンを取り出しながらその男性客の元へと向かった。
「はい、ご注文ですか?」
「ホットコーヒーおかわりください。あと、ハニーキャラメルパンケーキも」
彼は眼鏡越しに上目遣いで私の目を見ながら、人の好さそうな笑みを浮かべた。眼鏡越しでもはっきりとした二重と彫りの深さがよく分かる。
「ホットコーヒーのおかわりとハニーキャラメルパンケーキですね。ご注文は以上でよろしいですか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました」
彼は肩より伸びたブラウンの長髪を揺らしてパソコンの画面に向き直った。女の私でも羨ましくなるほどのサラサラの長い髪だ。横を向くと、すっと筋の通った高い鼻が目を引く。
「何か?」
注文を終えたのにまだその場にいる私を不審に思ったのか、彼は再び私を見て首を傾げた。
「あ、失礼しました。すぐお持ちします」
思わず彼の横顔に見とれてしまっていたことに気づき、私はハッとして慌てて厨房へと足を向けた。
「すいません」
その声に顔を上げて声の聞こえた方を見ると、店内の奥のカウンター席で男性客が手を挙げていた。私はテーブルを拭くのを中断し、エプロンのポケットからメモ帳とボールペンを取り出しながらその男性客の元へと向かった。
「はい、ご注文ですか?」
「ホットコーヒーおかわりください。あと、ハニーキャラメルパンケーキも」
彼は眼鏡越しに上目遣いで私の目を見ながら、人の好さそうな笑みを浮かべた。眼鏡越しでもはっきりとした二重と彫りの深さがよく分かる。
「ホットコーヒーのおかわりとハニーキャラメルパンケーキですね。ご注文は以上でよろしいですか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました」
彼は肩より伸びたブラウンの長髪を揺らしてパソコンの画面に向き直った。女の私でも羨ましくなるほどのサラサラの長い髪だ。横を向くと、すっと筋の通った高い鼻が目を引く。
「何か?」
注文を終えたのにまだその場にいる私を不審に思ったのか、彼は再び私を見て首を傾げた。
「あ、失礼しました。すぐお持ちします」
思わず彼の横顔に見とれてしまっていたことに気づき、私はハッとして慌てて厨房へと足を向けた。
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