first date
心なしか、お店に入る前と比べて彼の歩くスピードが速い気がする。いや、踵の高い靴を履き慣れていないから、私の歩くスピードが遅くなっただけか。
「わっ」
少しよろけたところを彼が私の肩を抱き寄せた。
「大丈夫?」
ふわりと鼻腔をくすぐる香水のウッディな甘い香り。頭のすぐ上から降ってくる彼の声。
「だ、ダイジョブです!」
突然のことに声が上ずってしまった。
「平らな靴を選んだ方がよかったね。ごめんね」
「いや、全然…。!?」
「でもこうやって手を繋ぐ口実になるね」
彼は相変わらずニコニコと笑っている。慌てているのは私だけ?
「行きつけの美容室がこの近くなんだよ。ちょっと歩くけど、ゆっくり行こう?」
彼の手は、大きくてゴツゴツしていて手のひらが厚くて、そして温かかった。ドキドキするのに安心感もある、不思議な感覚だ。
5分程歩いただろうか。訪れたのはオーガニックで落ち着いた雰囲気の美容室で、見る限り店員は5人いるようだった。各々接客している中、短髪の女性店員が親し気に俊矢さんに声を掛けてきた。
「あら、俊矢じゃない。今日はかわいいお嬢さん連れてどうしたの?」
「この子は藤枝絢ちゃん。今日はデートなの。ねえ、この子をもっとかわいくしてほしいんだ。ヘアアレンジとメイクお願いできる?」
「丁度私空いたところよ。俊矢はあっちのソファに座って待ってて。お嬢さんはこちらにどうぞ」
私は彼女に案内されて、スタイリングチェアに座った。
「わっ」
少しよろけたところを彼が私の肩を抱き寄せた。
「大丈夫?」
ふわりと鼻腔をくすぐる香水のウッディな甘い香り。頭のすぐ上から降ってくる彼の声。
「だ、ダイジョブです!」
突然のことに声が上ずってしまった。
「平らな靴を選んだ方がよかったね。ごめんね」
「いや、全然…。!?」
「でもこうやって手を繋ぐ口実になるね」
彼は相変わらずニコニコと笑っている。慌てているのは私だけ?
「行きつけの美容室がこの近くなんだよ。ちょっと歩くけど、ゆっくり行こう?」
彼の手は、大きくてゴツゴツしていて手のひらが厚くて、そして温かかった。ドキドキするのに安心感もある、不思議な感覚だ。
5分程歩いただろうか。訪れたのはオーガニックで落ち着いた雰囲気の美容室で、見る限り店員は5人いるようだった。各々接客している中、短髪の女性店員が親し気に俊矢さんに声を掛けてきた。
「あら、俊矢じゃない。今日はかわいいお嬢さん連れてどうしたの?」
「この子は藤枝絢ちゃん。今日はデートなの。ねえ、この子をもっとかわいくしてほしいんだ。ヘアアレンジとメイクお願いできる?」
「丁度私空いたところよ。俊矢はあっちのソファに座って待ってて。お嬢さんはこちらにどうぞ」
私は彼女に案内されて、スタイリングチェアに座った。