first date
「担当する松下です。まずはメイクからいきますね。ご希望はありますか?」
「いつもファンデーションだけでほとんど化粧をしたことないのでお任せします」
「もったいないわねぇ。腕が鳴るわ。うんとかわいくしてあげる」
鏡に映る彼女がにっこり微笑むのが見えた。
「お願いします」
「今日はこれからどちらへ?」
「特に決まってないです」
「そう。でもいいわね、デート」
「デートって言っても、本当のデートじゃないんです」
「え、付き合ってるんじゃないの?」
私は彼女に事の経緯を説明した。
「あー彼が書く小説って社会派が多いものねぇ。それにしても行きつけの喫茶店の店員さんに頼むなんて変わってるわ~」
「恥ずかしながら私は俊矢さんの小説は読んでなくて…。あの、俊矢さんとはどういうご関係ですか?親しいようなので…」
「中学の同級生よ。腐れ縁もいいところ。今は月1回髪切ったりトリートメントしてやったりしてるわ。小説家のくせにって言ったらあれだけど、見た目派手よねぇ。あんな髪伸ばしてどうするつもりなのって。ああ見えて中学のときはバスケ部でスポーツ刈りだったのよ」
「そうなんですか…」
やっぱり、中学の同級生だけあって彼のことはよく知っているようだ。
「もしかして妬いちゃった?」
「そんなんじゃないですよ。そもそもまともに会話したのだって今日が初めてですし…」
「分からないわよ~。本当に好きになっちゃったりしてね」
「まさか」
そんな会話をしているうちに、あっという間に見たことのない自分が出来上がっていった。アイシャドウはブラウン系で、アイラインとマスカラはさりげなく、チークはほんのりピンク色だ。最後にリップを塗ってメイクは完成だ。
「いつもファンデーションだけでほとんど化粧をしたことないのでお任せします」
「もったいないわねぇ。腕が鳴るわ。うんとかわいくしてあげる」
鏡に映る彼女がにっこり微笑むのが見えた。
「お願いします」
「今日はこれからどちらへ?」
「特に決まってないです」
「そう。でもいいわね、デート」
「デートって言っても、本当のデートじゃないんです」
「え、付き合ってるんじゃないの?」
私は彼女に事の経緯を説明した。
「あー彼が書く小説って社会派が多いものねぇ。それにしても行きつけの喫茶店の店員さんに頼むなんて変わってるわ~」
「恥ずかしながら私は俊矢さんの小説は読んでなくて…。あの、俊矢さんとはどういうご関係ですか?親しいようなので…」
「中学の同級生よ。腐れ縁もいいところ。今は月1回髪切ったりトリートメントしてやったりしてるわ。小説家のくせにって言ったらあれだけど、見た目派手よねぇ。あんな髪伸ばしてどうするつもりなのって。ああ見えて中学のときはバスケ部でスポーツ刈りだったのよ」
「そうなんですか…」
やっぱり、中学の同級生だけあって彼のことはよく知っているようだ。
「もしかして妬いちゃった?」
「そんなんじゃないですよ。そもそもまともに会話したのだって今日が初めてですし…」
「分からないわよ~。本当に好きになっちゃったりしてね」
「まさか」
そんな会話をしているうちに、あっという間に見たことのない自分が出来上がっていった。アイシャドウはブラウン系で、アイラインとマスカラはさりげなく、チークはほんのりピンク色だ。最後にリップを塗ってメイクは完成だ。