first date
 たどり着いたのはおしゃれで洗練された有名な街。星付きの有名飲食店や新しい商業施設が建ち並んでいる。その一角に構えるアパレルショップに行き着いた。

全面ガラス張りで2階建ての大きなお店だ。ガラスに映る私の姿は明らかに場違いで、お店に入るのも躊躇われる。店内に入ると、天井からいくつかのシャンデリアが吊るされており、足元には絨毯が敷かれていた。高級で豪華でアンティークな雰囲気のお店だ。店員さんもきれいでおしゃれでお上品。

おそるおそる近くにあったジャケットの値札を見ると、目玉が飛び出るほどの値段だった。どの商品も諭吉さん一人では力不足だ。

「普段ワンピース着る?」

「いや、着るどころか持ってないですよ。ていうか値段…」

「あ、こっちの方見てみようよ」

 彼はお構いなしにお店の奥へ進んでいく。

 彼の服はいつも派手だから、私もゴテゴテで派手な服を着せられてしまうんだろうか…。いささか不安に思いながらも彼の後ろをついていった。

「サイズはMでいいよね?」

「はい」

 彼はいくつかのワンピースを手に取って私に当てては戻し当てては戻しを繰り返しながら真剣な様子で選んでくれている。

「じゃあ、これとこれとこれ!あそこのフィッティングルームで試着してきて!」
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