このまま抱かれてしまいたい
このまま抱かれてしまいたい
洗面台の前に立ち、私はピンクのアイシャドウを右の瞼にのせた。いつもの朝と違って今日は落ち着かない。アイシャドウチップを置いて、洗濯機の上にあるスマホの黒い画面をタップした。ロック画面のデジタル時計は8:16と表示してしていた。通知はゼロ。
私はため息をついて再び洗面台の鏡に向き直った。朝からスマホの画面を何度もタップしてはため息を繰り返している。自分でも馬鹿馬鹿しいと思っているのに、この日がくるとついついやってしまうのだ。
ヴヴヴ、とスマホのバイブレーションが鳴った。私はすぐにスマホの画面を確認した。彼からだ。
『沢田さん
おはようございます。
本日20時のご予約です。
よろしくお願いします。
辻村』
いつもと変わらない、いかにもビジネスライクなLINEの文面。それなのに、私の胸は高鳴ってしまう。LINEの送り主は、月に一度通っている整体院の先生からだ。施術日の朝に、こうやって連絡が入る。連絡を入れておけば客にうっかり忘れられてドタキャンされるなんてことがないのだろう。しかしマメな人だ。
私は通知画面だけを見てまたメイクに戻った。すぐに返信をすると、LINEを待ち構えていたのかと思われそうなので、あえて時間を置いてから返信をしている。まあ、実際に待ち構えていたわけなのだが。
私はため息をついて再び洗面台の鏡に向き直った。朝からスマホの画面を何度もタップしてはため息を繰り返している。自分でも馬鹿馬鹿しいと思っているのに、この日がくるとついついやってしまうのだ。
ヴヴヴ、とスマホのバイブレーションが鳴った。私はすぐにスマホの画面を確認した。彼からだ。
『沢田さん
おはようございます。
本日20時のご予約です。
よろしくお願いします。
辻村』
いつもと変わらない、いかにもビジネスライクなLINEの文面。それなのに、私の胸は高鳴ってしまう。LINEの送り主は、月に一度通っている整体院の先生からだ。施術日の朝に、こうやって連絡が入る。連絡を入れておけば客にうっかり忘れられてドタキャンされるなんてことがないのだろう。しかしマメな人だ。
私は通知画面だけを見てまたメイクに戻った。すぐに返信をすると、LINEを待ち構えていたのかと思われそうなので、あえて時間を置いてから返信をしている。まあ、実際に待ち構えていたわけなのだが。
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