小羽根と自由な仲間達
自分の書いた俳句のパターンに、自分でハマってどうするんですか。

「…天方部長…」

「そ、そんな軽蔑した目で見ないでって。大丈夫だよ、多分!赤点…は、多分3つくらいしかない」

…あるんじゃないですか。

知りませんからね。来年同じクラスになっても。

その時はタメ語で話します。

…一方。

「ふっ。情けない方ですね。我らが部長は」

腕組みをして、ドヤ顔の弦木先輩。

…試験勉強期間に、夥しい数の棒人間を量産していた人が、何か言ってますよ。

「弦木先輩は余裕ですね。試験…手応えあったんですか?」

あんまり勉強してなさそうに見えたけど、実は地頭の良い天才タイプ?

…かと思いきや。

「勿論ですよ。俺の鉛筆コロコロの的中率は大陸全1ですから」

そんな理由でドヤらないでください。

転がさないで。自分の頭でちゃんと考えて選びましょうよ。

それに、それ、マークシート形式以外の試験だったらどうするんですか?

更に、その弦木先輩の隣では。

「李優、萌音ね、試験頑張ったんだよー」

「はいはい、お疲れさん」

「李優にご褒美のプリン作って欲しくて、頑張ったんだよ」

「…はいはい、分かったよ」

「やったー。李優好きー」

イチャイチャ。

仲良さそうで何よりですね。

この様子だと、こちらの二人も無事に赤点を回避した…のだと思われる。多分。

「それで、小羽根さんの方は?割と偉そうに俺達に説教してましたし、自分はばっちりだったんでしょうね?」

「うっ…」

そ、そう言われると痛いですが…。

「ばっちり…とまでは行きませんけど、まぁ、そこそこ…手応えはあったかなと…」

「ふーん。意外と口ほどにもないですね」

ばっちりでした、と胸を張って言えないのは、お恥ずかしい限りですが。

しかし、鉛筆転がしでドヤってる先輩には言われたくないですね。

「まぁ何にせよ、これで中間試験は終わりだ。切り替えて、今日からは部活頑張ろーぜ!」

赤点がほぼ確定している天方部長が、率先してそう宣言した。

…やれやれ。試験結果が明らかになる日が恐ろしいですね。
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