小羽根と自由な仲間達
第7章 前編
「よーし!試験の結果も発表されたことだし、今日も元気に部活をはじっ、って、うぉっ!?」
「…」
何やら吹っ切れた笑顔で、意気揚々と調理実習室にやって来た天方部長は。
部室の椅子に座って、ずーん、と沈み込んだ僕の姿を見つけて、思わずビクッとしていた。
…済みませんね。驚かせて。
「こ、後輩君が日陰のキノコみたいになってるぞ…。どうしたんだ?」
「連日に及ぶ部長のパワハラに耐えかねて、とうとう精神を病んだのでは?」
「えっ、マジ?なんかごめん」
凄く軽い調子で謝られた。
でも違います。弦木先輩、適当なこと言わないでください。
「落ち込んでるの?よしよし、可哀想に。大丈夫だよ、多少落ち込むことがあっても、明日になったら太陽はまた昇るよ」
落ち込んでいる僕に、久留衣先輩が何やら壮大な励ましの言葉を送ってくれた。
気持ちは嬉しいけど、抽象的過ぎてあんまり励ましになってない。
「甘いもの食べると元気出るよ。萌音なんてね、うっかり学生鞄を川に落っことした時ショックだったけど、李優の作ってくれたケーキ食べたら、元気になったもん」
「…そんなことがあったんですか?佐乱先輩…」
「…あったよ。今でも覚えてる。『川に鞄落っことしちゃったー。ケーキ作ってー』ってせがまれて、俺は空いた口が塞がらなかった」
そうでしょうね。
どうやったら、通学中に鞄を川に落とすんですか?
仮にそんなことが起きたとしたら、僕はケーキくらいじゃ元気にはならないと思います。
それでも久留衣先輩の為にケーキを作ってあげた、佐乱先輩の優しさよ。
「…で、真面目な話何に落ち込んでるんですか?今日試験の結果が発表されましたし、もしかしてそれですか」
「うっ…」
「…あ、いきなり図星ついちゃって済みません」
い…良いんですよ、弦木先輩。
言い逃れの出来ない真実ですから。
すると、それを聞いた天方部長が、笑いながら言った。
「なーんだ、そんなことで落ち込んでたの?良いじゃん、後輩君。君、まだ一年生なんだから。赤点の7つや8つあってもどうってことな、」
「ちょっと待って下さい。違いますよ。別に赤点があって落ち込んでるんじゃありません」
7つや8つって、それはいくらなんでも多過ぎでしょう。どうってことありますよ。
違います。天方部長と一緒にしないでください。
「え、違うの?」
「違います…。赤点はありません」
全部黒点で、何なら全科目平均点を超えています。
そうじゃなくて…。
「その…今日掲示板に貼り出された、成績上位者リストの結果が…」
「小羽根君、何番だったの?」
こてん、と首を傾げて久留衣先輩が尋ねた。
…無邪気に聞いてきますね。久留衣先輩…。
あんまり言いたくないんですけど…。聞かれてしまったら、答えない訳にはいかない雰囲気…。
「その…。学年で…4位でした…」
「学年!4位!」
ちょっと、天方部長。大声で復唱しないでください。
余計情けなくなってくるじゃないですか。
「…」
何やら吹っ切れた笑顔で、意気揚々と調理実習室にやって来た天方部長は。
部室の椅子に座って、ずーん、と沈み込んだ僕の姿を見つけて、思わずビクッとしていた。
…済みませんね。驚かせて。
「こ、後輩君が日陰のキノコみたいになってるぞ…。どうしたんだ?」
「連日に及ぶ部長のパワハラに耐えかねて、とうとう精神を病んだのでは?」
「えっ、マジ?なんかごめん」
凄く軽い調子で謝られた。
でも違います。弦木先輩、適当なこと言わないでください。
「落ち込んでるの?よしよし、可哀想に。大丈夫だよ、多少落ち込むことがあっても、明日になったら太陽はまた昇るよ」
落ち込んでいる僕に、久留衣先輩が何やら壮大な励ましの言葉を送ってくれた。
気持ちは嬉しいけど、抽象的過ぎてあんまり励ましになってない。
「甘いもの食べると元気出るよ。萌音なんてね、うっかり学生鞄を川に落っことした時ショックだったけど、李優の作ってくれたケーキ食べたら、元気になったもん」
「…そんなことがあったんですか?佐乱先輩…」
「…あったよ。今でも覚えてる。『川に鞄落っことしちゃったー。ケーキ作ってー』ってせがまれて、俺は空いた口が塞がらなかった」
そうでしょうね。
どうやったら、通学中に鞄を川に落とすんですか?
仮にそんなことが起きたとしたら、僕はケーキくらいじゃ元気にはならないと思います。
それでも久留衣先輩の為にケーキを作ってあげた、佐乱先輩の優しさよ。
「…で、真面目な話何に落ち込んでるんですか?今日試験の結果が発表されましたし、もしかしてそれですか」
「うっ…」
「…あ、いきなり図星ついちゃって済みません」
い…良いんですよ、弦木先輩。
言い逃れの出来ない真実ですから。
すると、それを聞いた天方部長が、笑いながら言った。
「なーんだ、そんなことで落ち込んでたの?良いじゃん、後輩君。君、まだ一年生なんだから。赤点の7つや8つあってもどうってことな、」
「ちょっと待って下さい。違いますよ。別に赤点があって落ち込んでるんじゃありません」
7つや8つって、それはいくらなんでも多過ぎでしょう。どうってことありますよ。
違います。天方部長と一緒にしないでください。
「え、違うの?」
「違います…。赤点はありません」
全部黒点で、何なら全科目平均点を超えています。
そうじゃなくて…。
「その…今日掲示板に貼り出された、成績上位者リストの結果が…」
「小羽根君、何番だったの?」
こてん、と首を傾げて久留衣先輩が尋ねた。
…無邪気に聞いてきますね。久留衣先輩…。
あんまり言いたくないんですけど…。聞かれてしまったら、答えない訳にはいかない雰囲気…。
「その…。学年で…4位でした…」
「学年!4位!」
ちょっと、天方部長。大声で復唱しないでください。
余計情けなくなってくるじゃないですか。