小羽根と自由な仲間達
改めて。

一学期中間試験の僕の順位は、学年で4番だった。

何とも情けない結果じゃないですか。

加那芽兄様は、総合得点満点でぶっちぎりの学年トップだったのに…。

それに比べて、僕の順位の中途半端なこと。

これほど失望してしまうということは、僕は無意識に、「自分も学年トップを狙えるかも」と期待していたんだろう。

なまじ、手応えはあると自負していたから…。

それなのに…学年4位。

お前なんて所詮その程度だ、と嘲笑われているような順位だ。

…しかし、先輩達は。

「4番だって。凄いねー小羽根君」

「小羽根さんも鉛筆コロコロ上手なんですね。見直しましたよ」

久留衣先輩は手をパチパチ叩いて褒め、弦木先輩も感心したようにそう言った。

…あの、弦木先輩。僕は別に、鉛筆転がしで解答を決めたりしてませんから。

ちゃんと自分の頭で考えて、これと思った解答を選びましたよ。

「何で4位で落ち込んでんの?充分良い順位じゃん」

けろっとして言う天方部長。

そ、それは…。

「だって…4位ですよ?中途半端な順位で…。その…あわよくば首位を…と思っていましたから…」

首位を狙うなんて、おこがましい話だったらしい。

非常に情けない。

加那芽兄様みたいに、3年間ずっと首位は無理かもしれないけど。

一回、二回くらいは…自分も…と期待していたから。

一年生の一学期という、3年間で一番出題範囲が狭いであろう狙い目の試験で、4位…。

ということは、出題範囲が広くなる期末試験では、首位を狙うのは今回より遥かに難しくなるということじゃないか。

勉強…サボっていたつもりはなかったのに。この順位…。

…やっぱり情けない。

「何に落ち込んでるのか分からないな。一年で学年4位なら、充分好成績だろ」

と、佐乱先輩。

「まほろや萌音なんか、余裕でランク外だぞ。入学してこの方、成績上位者リストに名前が載ったことなんて一度もない」

「えへへー」

「いや、褒めてはないからな。萌音」

…久留衣先輩。全然名誉なことではないので、そんな照れ臭そうに笑わないでくださいよ。

佐乱先輩の言うことは分かる。確かに、これが他の生徒だったら…学年4位と言えば、充分満足出来る順位なんだろうけど…。

なまじ、もっと上を目指していたものだから…。

「10位にでも滑り込めたら良いなぁ」と仄かに期待しながら、4位を取るのと。

「きっと1位を取れるはず」と自信満々に確信していながら、4位を取るのとじゃ、意味合いが違うでしょう?

そりゃ僕だって、自信満々に確信していた訳じゃないですよ。

でも、あわよくば…とは思ってましたから。

余計落胆する…。

「贅沢な奴だぜ。4位で文句言うなんて。自分だったら、学年4位なんか取ったら、一生の自慢にするけどな」

と、天方部長。

それは…確かにそうかもしれませんけど…。

上には上がいますから。

加那芽兄様という…僕では到底目覚めそうもない「最上」が。
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