小羽根と自由な仲間達
…そのまま、一晩ほとんど眠れない夜を過ごし。

このままじゃいけない、何とかしなければならない。

でも、今の僕に何が出来るのだろう…と、悶々と考え続け。

いくら考えても答えの出ないまま、夜が明けて朝を迎えた。

寝不足だったせいで、その日の授業中は全然集中出来ず、ぼんやりと過ごしてしまった気がする。

これじゃあ駄目だ。

気持ちばかりが焦って、心が苦しかった。

放課後になっても、とてもじゃないけど部活に参加する気分にはなれなかった。

でも、僕の苦しい胸の内なんて、部活をサボる理由にはならない。

寝不足と疲れを、努めて表に出さないようにしながら、今日も部室に向かうと…。





「失礼します…」

「お、後輩君だ。やっほー」

「…何やってるんですか?天方部長…」

今日の天方部長は、調理実習室のテーブルに、ポロポロとゴミを落としながら。

小さなナイフのようなものを手に、何やら削っていた。

…どうやら、また新しいことを始めたらしい。

すると天方部長は、よくぞ聞いてくれたとばかりに胸を張って、

「芸術研究部の活動だよ。どうだ?格好良いだろ?」

「…何なんですか?それ」

抽象画を描いていたかと思えば、今度は水墨画に走り。

次に俳句を始めて…今度は、

「見ての通り、彫刻だよ」

…だ、そうです。

…何にでも臆せずに挑戦するのは、天方部長の良いところですね。
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