小羽根と自由な仲間達
それから僕は、ほとんど丸二日、ベッドから離れられなかった。

一晩たっぷりと休んで、翌日にはだいぶ持ち直していたのだが。

加那芽兄様が、ドクターストップならぬ加那芽兄様ストップを出し、僕がベッドから離れることを許してくれなかったのだ。

ベッドの中でやることがないから、と勉強しようとしたら、勿論それも止められた。

真顔で加那芽兄様に、「しばらくの間、勉強禁止」と言われた。

そんなご無体な…。

勉強しなさいと怒られる高校生はいても、勉強するなと怒られる高校生はなかなかいない。

その代わり、ベッドの中で本を読むことは許された。

本は良いんですね。何でですか?

仕方ないので、加那芽兄様が書庫から持ってきてくれた本を読みながら過ごした。

ここ毎日、ずっと勉強ばかりしていて、ゆっくり読書するなんて久し振りだった。

全国模試まであと数日なのに、勉強しなくて良いのかという焦りはあったが。

久し振りにゆっくりとした時間を過ごせて、ここ最近の自分がいかに無理をしていたかを思い知った。

そして。

ようやく、加那芽兄様がベッドを離れる許可を出してくれたのは、僕が倒れてから、およそ四日後。

この日は、全国模試当日だった。

無茶な勉強計画は、結局僕の見落としの甘さのせいで、途中で瓦解してしまったけれど。

自分に出来るベストは尽くしたつもりである。
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