小羽根と自由な仲間達
あまりにもおどろおどろしい、地獄のようなパッケージ。

「な…何なんですかこれ?」

「名作映画、『オシイレノタタリ』のDVD」

そんな、当たり前のようにしれっと言われても。

お…押入れ?祟り?

「そ…そういう名前のミュージカルがあるんですか…?」

僕はまったく聞いたことないけど。

「は?ミュージカル?何じゃそりゃ」

…え、いや、えっと。

「結構有名なホラー映画ですよね」

返答に窮している僕の代わりに、弦木先輩が言った。

ホラー映画…?

「おっ。唱君、観たことあんの?」

「いえ、観たことはないですけど…聞いたことはあります」

「李優、知ってる?」

「さぁ…。知らないけど、まぁパッケージを見たところ、ホラー映画なんだなってことは分かるよ」

どうやら、天方部長以外は全員観たことがないらしい。

良かった。知らないの僕だけじゃなかったんだ。

「まったく君達、この超有名ホラー映画を知らずに今日まで生きてきたとは…。それで人生楽しいか?」

それなりに楽しく生きてますよ。悪かったですね。

「これは是非とも観ておくべき名作だぞ。じゃ、再生するからなー」

と言って、天方部長はDVDディスクを再生機に入れ、スイッチオン。

何故か分からないが、放課後ホラー映画鑑賞会が始まってしまったのだった。

…これ、芸術研究部の活動ですか?
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