小羽根と自由な仲間達
ヘビと楽しく戯れるなんて、信じられない。

ヘビをペットとして飼う人がいるってことは、知識として知ってますよ。

でも、そういう人はその…物凄く…特殊な趣味って言うか…。

僕には到底理解出来ないタイプだと思っていた。

ましてや、ヘビと戯れている動画を見て楽しむなんて。

…し、信じられない。

怖くないんだろうか…?ヘビだよ?ヘビなんですよ?

噛まれたり、絞められたりしないんだろうか…。

毒…はないんだよね?毒ヘビはさすがに飼えないよね? 

万が一、家から脱走したりしたらどうするんだろう…。

…びくびく。

「おぉー。ヘビめっちゃ慣れるじゃん!可愛い〜」

これが可愛いなんて、嘘でしょう?

無駄に動画の画質が良いせいで、ヘビの生々しい模様、生々しい鱗まで鮮明に見える。

ひぇっ…。

口元から、ちょろっ、ちょろっ、とピンク色の長い舌が覗いている。

ひぇっ…。

画面の中のはずなのに、今自分の目の前にいるような錯覚に襲われる。

「おっ、見て見て。他にもいっぱいヘビの動画があるぞ」

「わーい。ヘビちゃん可愛いねー」

「色んな種類がいるもんだな…」

関連動画から、更なるヘビ動画が。

うわぁぁぁ。

がたがたぶるぶる。

正直、もう逃げ出したかったのだが。

先輩達は興味津々で、ヘビ動画に見入っているし。

僕はヘビに対する恐怖と不気味さのあまり、その場に縫い付けられたように、一歩も動けなかった。

…全国の、ヘビ好きの皆さん。

非常に申し訳ないんですが、僕はヘビ、無理です。
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