小羽根と自由な仲間達
僕は…断食する趣味はないんですけど…。

「…!萌音、朝ご飯食べちゃ駄目なの?」

多分、この中で一番食べるのが大好きな萌音先輩が、愕然としていた。

「あぁ。禁止だ」

「…!どうしよう、李優…。萌音飢え死にしちゃう」

「別に、一日じゃ飢え死にはしないと思うが…。…でも、一日空きっ腹なんて俺は御免だぞ」

大丈夫です李優先輩。僕も嫌です。

って言うか、誰も好き好んで断食はしないと思いますよ。

「何ですか。健康を追求した結果、部員全員で断食ダイエットでもするつもりですか?」

唱先輩が尋ねた。

嫌ですよ、僕。そんな過酷な部活…。

ダイエットするにしても、まずは食生活を見直すことから始めます。

素人の断食は身を滅ぼしますからね。

すると、まほろ部長は頭を振った。

「違うよ。ただ、放課後に君達に食べて欲しいものがあるんだ。その為に出来るだけお腹を減らしておいて欲しいだけだよ」

とのこと。

「食べて欲しいもの…?って、何ですか?」

巨大ケーキ、とか?

しかし、実際はそんなものではなかった。

「後輩君。君は、『MKハンバーガー』を知ってるか?」

「えっ…?は、はい…。有名な…ハンバーガーチェーン店ですよね…」

世界的にも有名な、ハンバーガーショップである。

僕は、利用したことないんですけど…。

「そうだ。そのハンバーガーショップで、明日からとある神キャンペーンが始まることを知ってるか?」

「…紙キャンペーン…?」

「紙じゃねぇ。神だ」

あ、そうですか…。

「知りませんけど、何かあるんですか?」

「あぁ。これだ」

まほろ部長は、自分のスマホを見せてきた。

そこには、『MKハンバーガー』の公式サイトが。

見覚えのある人物達の写真と共に、大々的にキャンペーン内容が書かれていた。

『MKハンバーガー✕『frontier』コラボキャンペーン実施!

期間中、千円ごとのお買い上げで、豪華景品が当たるくじが引ける!

○月○日よりスタート』

という記事が。

ちなみにこの日付は、丁度明日である。

…あっ…成程…。

『frontier』と言えば、まほろ部長が大好きなアイドルグループ。

当然、熱狂的『frontier』ファンのまほろ部長が、このような神キャンペーンを見逃すはずがなかった。

「行かねばならん。だろ!?」

「は、はぁ…。そうですね…」

まほろ部長が、妙にテンション高い理由が分かりました。
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