小羽根と自由な仲間達
すると、他の部員達は。

「アホくさ。一人で行ってろよ」

李優先輩は、まったく興味なさげ。

「何を言うか李優君!」

「『frontier』が好きなのはあんただけだろ。俺達は別に興味ないんだ。一人で行けば良いだろ。俺達を巻き込むな」

身も蓋もないですね。

その通りですけど。

「一人で行くには限界があるから、皆を誘ってんだよ!一人で行ったって、精々1、2回しかくじ引けないだろ!」

え、そうなんですか?

「言われてみれば、確かに…。『MKハンバーガー』で一人で千円分食べるのって、結構大変ですもんね。家族がいるならまだしも…」

と、唱先輩。

「…そんなに安いんですか?『MKハンバーガー』って…」

「小羽根さん、行ったことないんですか?」

「じ、実は…」

「…なかなかの温室育ちですね…」

済みません。僕、温室育ちで。

「一番高いセットでも、精々8、900円台ですよ」

セット…。セットって何が付いてるんだろう?

ハンバーガーとドリンクのセット?

「ハンバーガーってカロリー高いので、1セット食べるだけで結構お腹に溜まるんですよね」

「ドリンクを炭酸系にすると、更に満足感上がるよな」

「うん。萌音も『MKハンバーガー』だと、ビッグMKバーガー10個くらいしか食べられないもん」

萌音先輩、謙遜して言ってますが、ハンバーガー10個って何気に相当凄いのでは?

しかもビッグ。

「そうなんだよ。本来なら、萌音ちゃんに食べてもらえば余裕かなーって思ってたんだけど…」

「萌音に食べさせ過ぎるなよ。この間ドーナツ食べ過ぎで胃もたれしたばかりなのに」

と、すかさず口を尖らせる李優先輩。

…ですよね。

萌音先輩の胃は今病み上がりなので、食べ過ぎは禁物です。

ましてや、ハンバーガーなんて脂っこい食べ物は危険ですよ。

控えめにしましょう。

「ってな訳で、萌音ちゃんに頼めないなら、君達全員の力を借りるしかない。協力してくれるな?」

…と、言われましても…。

事情は分かりましたが…。

「何で俺が協力しなきゃいけないんです。キャンペーングッズが欲しいのはまほろさんでしょう?一人で頑張ったらどうですか」

「俺は別に『frontier』、特にファンじゃないしな」

唱先輩と李優先輩は、まほろ部長に塩対応であった。

「君達…。血も涙もない奴らだな…」

「萌音は別に良いよー」

「萌音ちゃんめっちゃ良い子!なんて優しい子なんだ!」

萌音先輩も、「自分には関係ないから」と言って断っても良いのに。

現状、まほろ部長の味方は萌音先輩だけですね。
< 313 / 384 >

この作品をシェア

pagetop