小羽根と自由な仲間達
まほろ部長の目、これでもかってくらいかっ開いていて、怖いんですけど。

「おぉ、良かったなまほろ」

「小羽根さんにおんぶに抱っこじゃないですか」

「すごーい。小羽根君ってお金持ちなんだね」

いえ、萌音先輩。僕がお金持ちなんじゃなくて。

僕の住んでる家がお金持ちなだけです。

それはそれとして、まほろ部長の反応がないのが気掛かりなんですが。

「あのー…まほろ部長…?」

大丈夫ですか?

固まってますよ。銅像みたいに。

…もしかして、機嫌損ねたのだろうか?

自引きしたかったのに!もらいものじゃ意味ない!とか?

それなら、無理に受け取ってくださいとは言わないが…。

「あの…まほろ部長…これ、要らないんですか?」

「…」

と聞くと、まほろ部長はぶんぶんと首を横に振った。

「…要るんですか?」 

「…」

と聞くと、まほろ部長はぶんぶんと首を縦に振った。

やっぱり要るらしい。

「じゃ、どうぞ」

と言って、ルトリアさんのアクリルキーホルダーを渡すと。

まほろ部長は、表彰状でも受け取るかのように、恭しく受け取り。

そして。

「…やったぜ!ウチの後輩君超有能!見たか?見たかこれっ!?」

突然喋り始めた。

まるで宝石のように、アクリルキーホルダーを掲げる。

「なんて尊いんだ…!素敵!後輩君最高!」

「いや、あの。僕じゃなくて…。兄がくれたんですけど」

「後輩君のお兄ちゃん最高!」

はい。

「自分の代わりに、お兄ちゃんにハグしてキスしておいてくれ」

「…しませんよ…」

真顔で何言ってるんですか。

それはまぁ、加那芽兄様だったら、あながち嫌がらないかもしれませんけど。

でも僕が嫌です。

「じゃあ、今日帰りにビッグMKバーガー奢ってやるよ」

「…もう、しばらくは結構です…」

胃もたれが完全に治ったら、その時また誘ってください。
< 330 / 384 >

この作品をシェア

pagetop