小羽根と自由な仲間達
「まほろ部長…今度は、何部なんですか?」

「新しい部を始めるって言うか、名称を自由研究部に戻すことにする」

えっ?

「戻す…?それってどういう魂胆なんですか?」

「…言うようになってきたな、後輩君…。君の成長が嬉しいよ」

良いから、どういうつもりなのか教えてください。

「魂胆も何も、原点回帰だよ。そろそろアレの時期だからな」

…アレ?

アレって何だろう?

すると、他の部員達も。

「あー…。アレか…」

「そういえば、そんな時期でしたね」

李優先輩と唱先輩は、何やら気づいたようだ。

えっ。先輩方が知ってて、僕か知らないことなんですか?

何だか疎外感…を感じたのも一瞬。

「…?…??」

萌音先輩も分かってないようで、首を傾げていた。

良かった。僕だけじゃなかった。

「…それで、何なんですか?アレって…」

「そりゃあ君…我が校最大のイベント、創立記念祭だよ」

まほろ部長に言われて、ようやく僕もハッとした。

…そうだった。

「創立記念祭ですか…。そういえばそうでしたね」

僕は、まほろ部長のこの一言で理解したが。

何故か萌音先輩は、相変わらず首を傾げたままだった。

「…そーりつきねんさい?」

「…萌音、お前は知ってなきゃ駄目だろうが…。去年経験しただろ」

「おぉー。そうだっけ」

…萌音先輩。先輩であるあなたは、「知りません」は通用しませんよ。

創立記念祭とは、この学校の文化祭のことである。

僕は一年生だから、まだ経験したことはないけど。

入学する前、学校見学を兼ねて、加那芽兄様と一緒に創立記念祭を訪れたことがある。

あの時はお客さんとして参加したが、今回は開催する側、ホストとして参加することになるのだ。

…何だか新鮮な気分。

「創立記念祭では、部活単位で出し物をするからなー。未来の部員候補獲得の為にも、記念祭の時くらいは真面目な名称をつけておかないと」

それで、自由研究部に名前を戻すと…。

…真面目な名前なんですか?それ…。

まぁ、でも、ウチの部活って、かなり名前詐欺みたいなところありますから。

健康追求部に入りたいと思って受験して、いざ入学してみたら。

その頃には健康追求部なんてなくなっていて、まったく別の部活に変わっている…なんてことも有り得るかもしれない。

さすがに、それはあまりにも気の毒なので。

創立記念祭の時だけは、ふざけるのはやめて、真面目になりましょう。

…出来れば、創立記念祭の時だけじゃなくても、いつも真面目でいてください。
< 332 / 384 >

この作品をシェア

pagetop