小羽根と自由な仲間達
まぁ、最近の僕達って。

ファーストフード店でどか食いするという、健康追求部とはとても思えない部活動をやってましたし。

そろそろ、健康追求部を名乗るのも片腹痛くなってきたところ。

そう思うと、丁度良いのかもしれませんね。

…それで、改めまして。

「創立記念祭って…僕達自由研究部は、何をするんですか?」

「よくぞ聞いてくれた。後輩君」

ガシッ、とまほろ部長に両手を掴まれた。

びっくりした。

「今年は後輩君も増えたことだし、去年より張り切って準備しようぜ」

そ、そうですか。

「ちなみに…去年は、何をしたんですか…?」

「去年は確か…一年の活動記録を模造紙に書いて、部室のパネルに貼り付けて展示してたな」

「あー、やりましたねそんなこと…。入場無料で、誰でもご自由にご覧下さい、って」

と、李優先輩と唱先輩が教えてくれた。

…へぇ…活動記録の展示…。

「…ちなみにですけど、それ、お客さん来ました?」

「全然来ませんでしたよ」

「午前3人、午後1人、一日通して合計4人しか来なかったな」

「あまりに暇し過ぎて、店番してた萌音が涎垂らして爆睡してたレベルだ」

「そんなこともあったねー」

先輩達が、それぞれ真顔で教えてくれた。

萌音先輩だけは、けろっとしてたけど。

そ…そうなんですか…。

活動記録の展示か、あんまり面白そうじゃないな…と思ったら、案の定…。

これが他の学校だったら、活動記録の展示だけでも、それなりに見に来るお客さんはいるかもしれないが。

この学校の創立記念祭は、とても盛大に、そして大規模に行われる。

え?これが本当に学校の文化祭?って思うほどのクオリティの高さなのだ。

加那芽兄様と来たことがあるから知ってる。

屋台もいっぱい出てるし、舞台での発表も素晴らしい。

…正直、模造紙に書いた活動記録を展示するくらいじゃ、お客さんにとってはあまり…面白くないかもしれない。

だって他の部活は、屋台でお好み焼きとか焼きそばを作って販売したり。

文化部の皆さんは、ステージで歌ったり、演奏したり、立派な作品を体育館のパネルに貼って展示したりしてるのに。

それに比べたら…どうしても、インパクトがないですよね…。

僕もお客さんとして参加していたら、正直自由研究部の展示は素通りしてたと思う。

それより、美術部の作品展示を見に行ったと思いますよ。

僕、当初は美術部に入部する予定だったんで…。

「さすがに今年は、あんな閑古鳥は御免だからな。自分も切なかったぞ去年は」

「外ではお客さん達が賑わって大騒ぎなのに、俺達の部室だけ空気が死んでましたもんね」

「萌音の寝息だけが唯一耳に届く音だったな」

「えへへー」

いや、萌音先輩。そこは照れるところじゃないと思います。

…僕も同じ目に遭うのは御免なので、今年はもっと大規模にお願いします。

僕も頑張って手伝いますから。
< 333 / 384 >

この作品をシェア

pagetop