小羽根と自由な仲間達
「これ、活動記録冊子の見本誌なんですけど、これで良いか見てもらって良いですか?」

クレープ生地作りの合間に、昨夜加那芽兄様からもらった見本誌を、先輩達に見てもらうことにした。

さすがは加那芽兄様。仕事が早い。

何これショボい、と言われることはないと思うが…。

「おぉー、すげー!めっちゃそれっぽい!」

「表紙の絵、格好良いですね」

「これ、もうこのまま来年も使おうぜ」

「わー。凄いねー」

先輩達は、見本誌を前に大興奮。

表紙の絵、本当に格好良いですよね。

「これ、例の…後輩君のお兄ちゃんが作ってくれたんだよな?」

「えぇ、そうです」

「すげー!天才かよ」

そうですね。弟の僕が言うのもなんですが、加那芽兄様は天才だと思います。

「文章を書いたのは僕ですけど、ページのレイアウトとか、表紙の絵は全部加那芽兄…いや、兄が作ってくれました」

「あなたのお兄さん、美術齧ってます?やたら絵が上手いですが」

と、唱先輩。

鋭いですね。

「趣味の一環だそうですが…。絵は昔から上手いですよ」

学生時代は、それこそ絵画コンクールに応募して当選したりしていた。

美術の専門大学から、声をかけられたこともあるらしい。

…本人にまったくその気がないので、断ったそうだけど。

「なんか悪いな、ここまでしてもらって…」

恐縮する李優先輩。

僕も同感です。

「報酬を出せる訳でもない…。完全に無給のボランティアなのに…」

「はい…。でも、本人は気にしないでと言ってました」

むしろ、喜んでましたよ。

表紙の絵のことも、「久し振りに描いて楽しかったよ。良い気晴らしになった」と。

頭が上がりませんよ。加那芽兄様には。

「そうか…。くれぐれもお礼、言っておいてくれ。助かったって」

「はい、分かりました」

「お陰で、クレープ屋の方も何とかなりそうだよ」

加那芽兄様が、活動記録冊子作りのお手伝いをしてくれたお陰で。

クレープ屋の準備は順調に進み、何とか開店の目処が立っていた。

あとは、本番当日を迎えるのみ。
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