小羽根と自由な仲間達
さて、改めて。
ついに、創立記念祭が始まった。
早速、朝から創立記念祭に遊びに来てくれたお客さん達の姿が見え始めた。
僕達自由研究部のクレープ屋、その名も『メルヘン・クレープ』は、広いグラウンドの一角に店を構えている。
『メルヘン・クレープ』の周りには、他の部活の皆さんが出店している屋台が、所狭しと並んでいる。
僕達だけではなく、周囲の屋台でも、早速準備が始まったようで。
食べ物を料理する音や、美味しそうな匂いが漂い始めている。
「凄い…。色んな屋台があるんですね…」
僕は、周囲の屋台を眺めながら呟いた。
僕自身は、自分達のクレープ屋のことで必死だったから。
他の部活の人達がどんな屋台を企画しているのか、全然知らなかったけど。
本当に色々あるんですよ。これが。
「野球部は、毎年恒例の焼きそば屋…。向こうのサッカー部は、フライドポテトと唐揚げ…。その向かい側にいるバスケ部は、今年は確か、かき氷屋だったっけな」
と、李優先輩が教えてくれた。
どれもこれも、屋台の定番ですね。
さすが。大きな部活は違いますよ。
部員の数からして、僕達とは大違いですもんね。
焼きそばだって、普通のソース焼きそばだけじゃなくて。
塩焼きそば、ホルモン焼きそば、オムそば、って何種類もあって。
オプションのトッピングも、色々選べるみたい。
かき氷屋だって、夏祭りとかでよく見る普通のかき氷じゃなくて。
お洒落な喫茶店で流行りの、ふわふわかき氷。
お洒落な器の中に、ふわっふわのかき氷がたっぷりと乗っている。
そのかき氷に、たくさんの種類のシロップ、アイスクリーム、生クリームやフルーツなどのトッピングを選べるらしい。
あれはお洒落ですよ。
それにほら、その向こうにあるのは。
「見て下さいよ、あれ…。サンドイッチ屋ですね」
「お、本当だ…」
僕が指差すと、李優先輩が答えた。
「フルーツサンドか…。流行ってるよな、あれ…」
「ですよね…」
白いサンドイッチのパンの間に、たっぷりのホイップクリーム。
それに、美しい果物の断面が覗いた、見た目にも大変お洒落なフルーツサンド専門屋台である。
あれは流行りますよ。違いない。
あまりのクオリティの高さに、ちっぽけなクレープ屋を営む僕達は、自信がなくなってくる。
「うぅ…。キツい…」
そんな中、唱先輩は一人、顔をしかめていた。
キツい、ですか。
「そうですか…。そうですよね。やっぱり、さすがにピンクのエプロンとネコ耳カチューシャはキツいですよね…」
周囲の立派な、そしてお洒落な屋台を経営する皆さんを見て。
自分の格好が恥ずかしくなって、視覚的にキツくなってきたと見え、
「違いますよ。匂いです」
え?
「色んな食べ物の匂いが混じり合って…。…気持ち悪い。うぇ」
あっ…えっ…。そっちですか。
確かに、嗅覚に優れた唱先輩には、この匂いはキツいかもしれない。
ソースの匂いとか、フライドポテトの油の匂いとか、ベビーカステラみたいな甘ったるい匂いも漂っている。
僕には美味しそうな匂いに感じるけど…。唱先輩にはキツいですね。
唱先輩は、鼻にティッシュを詰めていた。そこまでですか。
お客さんが来たら、怪しまれるのでやめてくださいね。
「…じゅる」
食いしん坊な萌音先輩は、この屋台の匂いに釣られて涎を垂らしている。
皆さん、三者三様ですね。
ついに、創立記念祭が始まった。
早速、朝から創立記念祭に遊びに来てくれたお客さん達の姿が見え始めた。
僕達自由研究部のクレープ屋、その名も『メルヘン・クレープ』は、広いグラウンドの一角に店を構えている。
『メルヘン・クレープ』の周りには、他の部活の皆さんが出店している屋台が、所狭しと並んでいる。
僕達だけではなく、周囲の屋台でも、早速準備が始まったようで。
食べ物を料理する音や、美味しそうな匂いが漂い始めている。
「凄い…。色んな屋台があるんですね…」
僕は、周囲の屋台を眺めながら呟いた。
僕自身は、自分達のクレープ屋のことで必死だったから。
他の部活の人達がどんな屋台を企画しているのか、全然知らなかったけど。
本当に色々あるんですよ。これが。
「野球部は、毎年恒例の焼きそば屋…。向こうのサッカー部は、フライドポテトと唐揚げ…。その向かい側にいるバスケ部は、今年は確か、かき氷屋だったっけな」
と、李優先輩が教えてくれた。
どれもこれも、屋台の定番ですね。
さすが。大きな部活は違いますよ。
部員の数からして、僕達とは大違いですもんね。
焼きそばだって、普通のソース焼きそばだけじゃなくて。
塩焼きそば、ホルモン焼きそば、オムそば、って何種類もあって。
オプションのトッピングも、色々選べるみたい。
かき氷屋だって、夏祭りとかでよく見る普通のかき氷じゃなくて。
お洒落な喫茶店で流行りの、ふわふわかき氷。
お洒落な器の中に、ふわっふわのかき氷がたっぷりと乗っている。
そのかき氷に、たくさんの種類のシロップ、アイスクリーム、生クリームやフルーツなどのトッピングを選べるらしい。
あれはお洒落ですよ。
それにほら、その向こうにあるのは。
「見て下さいよ、あれ…。サンドイッチ屋ですね」
「お、本当だ…」
僕が指差すと、李優先輩が答えた。
「フルーツサンドか…。流行ってるよな、あれ…」
「ですよね…」
白いサンドイッチのパンの間に、たっぷりのホイップクリーム。
それに、美しい果物の断面が覗いた、見た目にも大変お洒落なフルーツサンド専門屋台である。
あれは流行りますよ。違いない。
あまりのクオリティの高さに、ちっぽけなクレープ屋を営む僕達は、自信がなくなってくる。
「うぅ…。キツい…」
そんな中、唱先輩は一人、顔をしかめていた。
キツい、ですか。
「そうですか…。そうですよね。やっぱり、さすがにピンクのエプロンとネコ耳カチューシャはキツいですよね…」
周囲の立派な、そしてお洒落な屋台を経営する皆さんを見て。
自分の格好が恥ずかしくなって、視覚的にキツくなってきたと見え、
「違いますよ。匂いです」
え?
「色んな食べ物の匂いが混じり合って…。…気持ち悪い。うぇ」
あっ…えっ…。そっちですか。
確かに、嗅覚に優れた唱先輩には、この匂いはキツいかもしれない。
ソースの匂いとか、フライドポテトの油の匂いとか、ベビーカステラみたいな甘ったるい匂いも漂っている。
僕には美味しそうな匂いに感じるけど…。唱先輩にはキツいですね。
唱先輩は、鼻にティッシュを詰めていた。そこまでですか。
お客さんが来たら、怪しまれるのでやめてくださいね。
「…じゅる」
食いしん坊な萌音先輩は、この屋台の匂いに釣られて涎を垂らしている。
皆さん、三者三様ですね。