小羽根と自由な仲間達
…さて、それはそれ。

創立記念祭を終えて、無悪家のお屋敷に帰った後。

加那芽兄様が、にこにこと嬉しそうに迎えてくれた。

「あ、小羽根お帰り。待ってたよー。今日はお疲れ様、疲れた小羽根の為にお菓子とお茶の用意を、」

「加那芽兄様。今後一切、お仕事以外でSNSの使用を禁止します」

「え、何で…!?」

…何でじゃないですよ。

あなたは、もう少し御自分の影響力というのを自覚してください。

僕は加那芽兄様に、あの後の『メルヘン・クレープ』の異常な盛況ぶりを説明した。

案の定、加那芽兄様は少しも驚くことなく、にこにこと聞いていた。

ほら。やっぱり。

「加那芽兄様…あなた、分かってて御自分のSNSに投稿したでしょう」

「お客さんが来ないって、小羽根達が寂しがってるように見えたから…」

だからって、目が回るほどたくさんのお客さんに来て欲しい、とは言ってませんよ。

お陰でとっても疲れました。

有り難いですけど。有り難いことなんですけど。

でも、限度ってものがありますから。

「もう…加那芽兄様は…」

「分かった分かった。今後は気をつけるよ。それで良いでしょう?」

良いでしょう?じゃないですよ。

丸め込もうとしないでください。

「ほらほら。一緒にお茶しようじゃないか。小羽根の為にとびっきりのお茶菓子を用意してあるからね」

「…本当に気をつけてくれます?」

「勿論だよ。可愛い小羽根のお願いだからね」

にこっ。

…果たしてその笑顔、信じて良いのやら。

…まったくもう。

「それを約束してくれるなら…お茶でも何でも付き合ってあげますよ」

「ありがとう。小羽根は良い子だね」

よしよし、と頭を撫でられた。

加那芽兄様ったら…調子良いんですから。

そして、そんな加那芽兄様に毎回流されてしまう僕も、我ながら甘いですね。














END
< 381 / 384 >

この作品をシェア

pagetop