小羽根と自由な仲間達
自宅である無悪の屋敷に帰ってから、僕は真っ先に、加那芽兄様の書庫に向かった。

イタリアン料理の次は、スイーツ…。

普通の料理だってまだ全然慣れてないのに、今度はお菓子作りか…。

…何だか、ハードルが高いような気がしませんか?

しかも、一種類じゃなくて、3種類も…。

…とりあえず、3種類のうち一つは、この間作ったティラミスにしよう。

…え?またティラミスなのかよ、って?

許してくださいよ。レパートリーがないんです。

問題は、残る2種類をどうするか。

それを決める為に、加那芽兄様の書庫にやって来た。

イタリアンのレシピ本が置いてあったんだから、お菓子作りのレシピ本もあるかも思って。

しばし書庫の中を探して、僕はお菓子作りのレシピ本を数冊見つけた。

ほら、やっぱりあった。

しかし、そのレシピ本はどれも。

『おうちで本格的!スイーツ作りの教科書』。

『上級者向けのお菓子作り』。

『極上のお菓子〜プロ直伝の技〜』。

…等々。

タイトルから分かる。…この本、明らかに上級者向けのレシピ本だ。

恐る恐るページを捲ってみると、いくつもの細かい工程が写真つきで、3ページくらいに渡ってびっしりと書いてあった。

うわぁ…。なんて手間のかかりそうな…。

よくよく見たら、ケーキ一つで、所要時間180分、って書いてある。

3時間って、本気ですか?

駄目だ。これは明らかに、お菓子作りに慣れた…佐乱先輩のような上級者向けのレシピ。

よくある、誰でも簡単に出来るレシピ、とか。初心者向けのレシピではない。

さすが、加那芽兄様の書庫にある本…。何でも本格的ですね。

でも、僕は正真正銘のド素人なので、もっと簡単なレシピが良かったです。

書庫にあったお菓子作りのレシピ本を、1ページずつにらめっこするように確かめ。

難しそうなレシピの中でも、比較敵簡単そうなレシピを探した。

身の丈に合わないと分かっていて、無謀なレシピに挑戦して、食材を無駄にしたくはないですからね。

書庫にこもって、簡単そうなレシピを探すこと2時間近く。

ようやく僕は、自分でも作れそうなレシピを二つ、ピックアップした。

一つは、材料を混ぜるだけのチョコチップクッキー。

もう一つは、ホットケーキミックスで作るカップケーキ。

それから、この間作ったティラミス。この3種類を作ろうと思う。

スイーツビュッフェは月曜日だから…前日の日曜日に、屋敷の厨房を貸してもらって作ることにした。
< 45 / 384 >

この作品をシェア

pagetop