小羽根と自由な仲間達
その後、調理実習室で「スイーツビュッフェ」を開催した。

天方部長のうんまい棒やティロルチョコや、ふ菓子も美味しかったし。

久留衣先輩の、ミセスドーナツのドーナツも美味しかったし。

弦木先輩の、『ブラック・カフェ』のみたらし団子も、そのグロテスクな見た目に反して、物凄く美味しくてびっくりした。

けれどそれ以上に感動したのは、佐乱先輩の作ってきたケーキ。

「…!凄く美味しいですね、これ…」

佐乱先輩のレアチーズケーキを一口食べて、僕は思わずびっくりしてそう言った。

これまで、加那芽兄様が買ってきてくれた、様々な有名店のレアチーズケーキを食べてきたけれど。

それらとは別格。

こんな美味しいレアチーズケーキ、食べたことがない。

しかも、これが手作りなんて。

「でしょ?李優の作るケーキは、いつも、どれも美味しいんだよ」

何故か、久留衣先輩が得意げだった。

「フルーツタルトも美味しいよ。食べてみて」

「は、はい…」

フルーツタルトの方もいただいたけれど、こちらもプロの味。

びっくりするくらい美味しい。加那芽兄様にも食べさせてあげたいくらい。

「佐乱先輩、凄いですね…」

「でしょ?李優は凄いんだよ」

えへん、と胸を張る久留衣先輩。

さっきから、何故久留衣先輩が得意げなんですか?

「いやー美味い。学校でスイーツビュッフェを楽しめるなんて、料理研究部やってて良かったなー」

こちらも、佐乱先輩のビスコッティを齧りながら、ご満悦な様子の天方部長である。

…料理研究部を名乗るなら、先輩方も手作りお菓子に挑戦して欲しかったですね。

まぁ、僕もクッキーとカップケーキで失敗しているので、あまり偉そうなことは言えませんが…。

もしスイーツビュッフェ2回目が開催される日が来たら、今度こそリベンジしようと思う。






…しかし。

料理研究部に、二度目のスイーツビュッフェ開催の機会など、永遠に訪れない。

僕がそのことを知るのは、もう少し後の話である。





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