小羽根と自由な仲間達
…で、そんなことよりも。

…何だか大切なことを忘れてませんか?

「…あの。先輩方」

「畜生…。やっぱり、いきなり絵画に挑戦するのは無理があったか…?」

「そもそも俺達、芸術の授業選択してませんもんね」

そ、そうなんですか。

いや、だから。それよりも。

僕の話を聞いてください。

「…何で皆さん、突然絵なんか描いてるんですか?」

やっと言えた。

ここは調理実習室で、僕達は料理研究部でしょう?

何で料理研究部が、絵なんか描いてるんですか。

しかし先輩方は、不思議そうな顔をしていた。

「何でって…。部活してるだけだよ?」

こてん、と首を傾げる久留衣先輩。

「後輩君が、宿題なんかせずにまともに部活しろって言うから、まともに部活してんじゃん。なぁ?」

「えっ…?」

全然話についていけない。何言ってるんですか?

部活の時間は宿題をする時間じゃないんだから、まともに部活動をする。それは賛成ですよ。当たり前のことですから。

でも、何でそれで部活中に絵を描くようなことになるんですか?

百歩譲って、食べ物の絵を描くなら分かりますけど。

そうじゃないなら、やっぱり料理研究部とは全く関係ないのでは?

「部活…してないじゃないですか。僕達は料理研究部なのであって…」

「あ?あぁ。それもう終わったよ」

「は?」
 
お…終わった?

終わったって、どういう…。

「そういえば、まだ小羽根さんには言ってませんでしたね」

「今日からこの部活、料理研究部じゃなくて、芸術研究部に変わったんだよ」

弦木先輩と久留衣先輩が言った。

…は?

これには、僕は目を丸くして立ち尽くした。
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