Candytuft.
 私は目盛りの残量が1になったiQOSをようやくひとくち吸うと、どうかしているついでにこちらからも声をかけてみた。

「大変失礼なことを言ってもいいですか。」
「なんでしょうか。」

 おお、意外にも普通に会話してくれた。

「…前に、好きだったひとに、…似ていて、」
「ああ、そうですか。」

 彼はまだ、私の生まれた場所でたくさんのひとの命を救うためにがんばっている。
 逃げてきた私に、もう彼に会う資格などないというのに。
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