雨声~形のないラブレター
*
「へぇ~、そないなことがあったんだぁ」
「完全に嫌われてもうた」
「別にええんとちゃう?嫌われとったかて。友達でもあらへんし、バイト仲間でもあらへんのやさかい」
「そやけど、カフェの大事なお客様やわぁ」
翌日、お昼休みにお弁当を食べながら、親友の里穂にバイト先での出来事を話した。
里穂は最近彼と別れたとかで、ここ数日は毎日愚痴を零している。
それを聞いていたから、自分の話題を切り出すタイミングがなかったのだ。
「イケメンやけど会話はNG。何考えてるのか分からへんけど、ピアノは上手」
「……うん」
「超絶ミステリアスやん」
「もう一つ気になることがあって」
「何なに?」
里穂が身を乗り出すみたいにして来た。
「雨の日限定……みたいやで」
「は?」
「何て言うたらええんやろう…」
「えっえ……どないなこと?雨降ってる日だけ、カフェに来るってこと?」
「うーん、曇りの日にも来てる気ぃするけど、雨降ってる日にピアノを弾いてる気ぃすんねん」
「……ますますミステリアスやん!」
「取ってつけたようなうちの統計上の理論かもしれへんけど」
「ほな、昨日とおとついは来てへんのや?」
「うん」
昨日と一昨日はカラッと晴れた夏日だった。
梅雨の時期に中休み的に訪れる晴天の日。
冷たい飲み物が多く売れるし、観光客も多く訪れる。
だからなのかもしれない。
彼がカフェにいる日は、人気がない日が多い気がして。
逆算して辿り着いた答えが、雨の日限定なのかもしれない、というものだった。
「へぇ~、そないなことがあったんだぁ」
「完全に嫌われてもうた」
「別にええんとちゃう?嫌われとったかて。友達でもあらへんし、バイト仲間でもあらへんのやさかい」
「そやけど、カフェの大事なお客様やわぁ」
翌日、お昼休みにお弁当を食べながら、親友の里穂にバイト先での出来事を話した。
里穂は最近彼と別れたとかで、ここ数日は毎日愚痴を零している。
それを聞いていたから、自分の話題を切り出すタイミングがなかったのだ。
「イケメンやけど会話はNG。何考えてるのか分からへんけど、ピアノは上手」
「……うん」
「超絶ミステリアスやん」
「もう一つ気になることがあって」
「何なに?」
里穂が身を乗り出すみたいにして来た。
「雨の日限定……みたいやで」
「は?」
「何て言うたらええんやろう…」
「えっえ……どないなこと?雨降ってる日だけ、カフェに来るってこと?」
「うーん、曇りの日にも来てる気ぃするけど、雨降ってる日にピアノを弾いてる気ぃすんねん」
「……ますますミステリアスやん!」
「取ってつけたようなうちの統計上の理論かもしれへんけど」
「ほな、昨日とおとついは来てへんのや?」
「うん」
昨日と一昨日はカラッと晴れた夏日だった。
梅雨の時期に中休み的に訪れる晴天の日。
冷たい飲み物が多く売れるし、観光客も多く訪れる。
だからなのかもしれない。
彼がカフェにいる日は、人気がない日が多い気がして。
逆算して辿り着いた答えが、雨の日限定なのかもしれない、というものだった。