極上の彼女と最愛の彼 Vol.2 〜Special episode〜
「えーっと、ここかな?」
その日の夜。
透は早速教えられたバーに立ち寄ることにした。
オフィスビルの最上階の、小さく店名が書いてあるだけのバーのドアを、半信半疑で開ける。
(おおー、すごいな)
一歩店内に足を踏み入れると、パノラマに広がる綺麗な夜景が目に飛び込んできた。
照明をグッと絞った落ち着いた店内の中央に大きな水槽があり、ダークブルーのライトの中をゆらゆらと魚達が泳いでいる。
お好きな席へどうぞ、とマスターに声をかけられ、透は迷うことなく水槽の前のカウンターチェアに座った。
「えっと、ジンライムを」
「かしこまりました」
オーダーを済ませると、片肘をついて水槽を眺める。
確かにオフィスにあるよりもゴージャスな水槽で、魚の種類も多い。
(洋平と奥さんはここで出逢ったのか。シチュエーションからして大人っぽいなあ。あの二人に似合いそう)
そんなことを思いながら、運ばれてきたグラスに口をつける。
もう一度カラフルな魚達に目をやった時、向こう側に座っているであろう女の子と、水槽越しに目が合った。
透は社交辞令程度に微笑んでから視線を落とす。
だが、ん?と何かが引っかかり、もう一度顔を上げた。
水槽の向こうで、女の子もパチパチと瞬きを繰り返している。
(あれ?ひょっとして…)
透は大きく右側に身体を倒し、水槽の端から反対側を覗き込んだ。
「由良ちゃん?!」
「透さん!」
二人は同時に声を上げる。
「やっぱりそうか。どうしたの?一人?」
「ええ。前に瞳子さんからオススメのバーがあるって教えてもらって、気になってたんです。今日の仕事の現場、この近くだったので、思い切って寄ってみました」
「そうなんだ。俺も今日ここをオススメされて…」
そこまで言って、ふと由良の前に置かれたグラスを見た透は、急に目を見開く。
「ちょっ、由良ちゃん!ダメだよ、こんなところに一人で来たら」
「え?どうしてですか?」
「だって君はまだ…」
透は周りを気にしながら声を潜めた。
「君、まだ未成年でしょ?お酒は20歳になってから、だよ」
すると由良は目を丸くしてから、ぷっと吹き出して笑い始めた。
「やだ!透さんたら。私、未成年じゃないですよ?」
「え、そうなの?20歳になったばっかり、とか?」
「ううん。私、22歳です」
「ええー?!ほんとに?俺てっきり、ひと回りは違うだろうなって。18くらいかと思ってたよ」
「は?ちょっと待って、ひと回りって…。透さん、いくつなの?」
「30だよ」
30ー?!と、由良は仰け反って驚く。
「嘘でしょ?どう見ても私と同い年くらいに見えるのに、まさかそんなに年いってるなんて!」
「ゆ、由良ちゃん。それ、喜んでいいのか悲しんでいいのか…」
「あはは!ごめんなさーい。でも私は最上級に褒めてますよ?」
「そ、そう。ありがとう」
「ふふふ、どういたしまして」
取り敢えずこちらの席にどうぞ、と言われて、透はグラスを手に由良の隣に座り直した。
その日の夜。
透は早速教えられたバーに立ち寄ることにした。
オフィスビルの最上階の、小さく店名が書いてあるだけのバーのドアを、半信半疑で開ける。
(おおー、すごいな)
一歩店内に足を踏み入れると、パノラマに広がる綺麗な夜景が目に飛び込んできた。
照明をグッと絞った落ち着いた店内の中央に大きな水槽があり、ダークブルーのライトの中をゆらゆらと魚達が泳いでいる。
お好きな席へどうぞ、とマスターに声をかけられ、透は迷うことなく水槽の前のカウンターチェアに座った。
「えっと、ジンライムを」
「かしこまりました」
オーダーを済ませると、片肘をついて水槽を眺める。
確かにオフィスにあるよりもゴージャスな水槽で、魚の種類も多い。
(洋平と奥さんはここで出逢ったのか。シチュエーションからして大人っぽいなあ。あの二人に似合いそう)
そんなことを思いながら、運ばれてきたグラスに口をつける。
もう一度カラフルな魚達に目をやった時、向こう側に座っているであろう女の子と、水槽越しに目が合った。
透は社交辞令程度に微笑んでから視線を落とす。
だが、ん?と何かが引っかかり、もう一度顔を上げた。
水槽の向こうで、女の子もパチパチと瞬きを繰り返している。
(あれ?ひょっとして…)
透は大きく右側に身体を倒し、水槽の端から反対側を覗き込んだ。
「由良ちゃん?!」
「透さん!」
二人は同時に声を上げる。
「やっぱりそうか。どうしたの?一人?」
「ええ。前に瞳子さんからオススメのバーがあるって教えてもらって、気になってたんです。今日の仕事の現場、この近くだったので、思い切って寄ってみました」
「そうなんだ。俺も今日ここをオススメされて…」
そこまで言って、ふと由良の前に置かれたグラスを見た透は、急に目を見開く。
「ちょっ、由良ちゃん!ダメだよ、こんなところに一人で来たら」
「え?どうしてですか?」
「だって君はまだ…」
透は周りを気にしながら声を潜めた。
「君、まだ未成年でしょ?お酒は20歳になってから、だよ」
すると由良は目を丸くしてから、ぷっと吹き出して笑い始めた。
「やだ!透さんたら。私、未成年じゃないですよ?」
「え、そうなの?20歳になったばっかり、とか?」
「ううん。私、22歳です」
「ええー?!ほんとに?俺てっきり、ひと回りは違うだろうなって。18くらいかと思ってたよ」
「は?ちょっと待って、ひと回りって…。透さん、いくつなの?」
「30だよ」
30ー?!と、由良は仰け反って驚く。
「嘘でしょ?どう見ても私と同い年くらいに見えるのに、まさかそんなに年いってるなんて!」
「ゆ、由良ちゃん。それ、喜んでいいのか悲しんでいいのか…」
「あはは!ごめんなさーい。でも私は最上級に褒めてますよ?」
「そ、そう。ありがとう」
「ふふふ、どういたしまして」
取り敢えずこちらの席にどうぞ、と言われて、透はグラスを手に由良の隣に座り直した。