極上の彼女と最愛の彼 Vol.2 〜Special episode〜
「ふあー、もう、ぐったり」

収録を終えて控え室に戻ったハルは、衣装のままドレッサーに突っ伏す。

収録に疲れたというよりは、倉木と一緒だったことに緊張して疲れ果てていた。

「あー、なんか変なこと言わなかったかな?」

独りごちていると、マネージャーが嬉しそうに肩を叩いてきた。

「やったわね!ハル。NG大賞ももらえたし、コメントもウケてたし。なかなか良かったわよ」
「えー、そうですか?NG出して賞もらうって、喜んでいいのか…」
「まあね、本来ならダメでしょうけど。面白いNGなら結果オーライよ」
「はあ…。ありがとうございます」
「じゃあ、他の共演者の方にご挨拶してくるわね」

いつになくご機嫌なマネージャーは、鼻歌混じりに部屋を出て行った。

ハルは改めて、ふう、とため息をつく。

(倉木さん、ハンカチ気に入ってくれるかな?)

あの時、結婚披露宴で差し出されたハンカチは、高級ブランドの真っ白なハンカチだった。

同じブランドの同じハンカチを買って返すつもりだったが、いざお店に行くと、さり気なく薄いブルーのパイピングが施された真っ白なハンカチが目に留まり、思い切ってそちらを購入した。

しかもそれは、薄いピンクのパイピングの女性用もあり、ペアで販売していたのだ。

つまり、その女性用の方は、今ハルが持っている。

(勝手にペアで持っちゃって、なんだかストーカーみたいで怖いかな?でもこれくらい、いいよね?)

ハルは、衣装のポケットからそのハンカチを取り出すと、ふふっと微笑んでから大切にバッグにしまった。
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