極上の彼女と最愛の彼 Vol.2 〜Special episode〜
第八章 アメリカン透?
数日後。

オフィスでメールをチェックしていた透は、見慣れないアドレスに目を留めた。

件名に『由良です』とあり、ああ!と頷いてすぐにメッセージを開く。

『こんにちは。オフィス フォーシーズンズの由良です。
昨日、瞳子さんからDVDを受け取りました。とっても素敵な編集で、あの日の感動が蘇り、うっとりしてしまいました。
しかも私の為に特別に編集してくださったのでしょうか?嬉しかったです。本当にありがとうございました。
何かお礼の品を、と考えています。
オフィスの住所に送らせていただいても構いませんか?
よろしければ、お返事お待ちしております。
             由良』

大人びた文面に、透は驚く。

(ええ?!これってほんとにあの由良ちゃん?)

だが以前、バーで由良が「私、こういう仕事してるせいか、どうも軽く見られがちで」と話していた言葉を思い出した。

(そっか。由良ちゃんって、幼く見えるけどちゃんとしてる子だったな)

そう思い、早速返信する。

『こんにちは。メールをご丁寧にありがとう。
DVD、気に入ってくれたのなら良かったです。
お礼なんてお気遣いなく。勝手にこちらが君に贈りたかっただけなので。
それでは、また』

ビジネス用の署名を添えて送信すると、しばらくして返事が来た。

『返信ありがとうございます。
ブーケトスのシーンに添えられた、透さんのお言葉が嬉しかったです。

May the goddess of happiness smile on you.

私も透さんに同じ言葉を贈ります。
優しい透さんに、幸せの女神が微笑みますように。

追伸
お礼の品がご迷惑なら、せめてお食事をごちそうさせてもらえませんか?』

へえ、とまた透は感心する。

由良に贈ったDVDは、瞳子や大河に渡したものとは違い、ブーケトスのシーンをノーカットで編集してあった。

ブーケを受け取って笑顔になる由良をアップのスローで捉え、下に英文を浮かび上がらせていた。

それに対して自分にも言葉を返してくれ、更にはお礼はいらないと断っても、こうしてせめてもの気持ちを示してくれる。

文面だけ読んでいると、どんなに大人の振る舞いが出来る素敵な女性だろうかと思わされた。

(そう言ってくれるなら、カフェでコーヒーでもごちそうになろうかな)

そんな気持ちが湧いてきて、透はまたメールを送る。

『ありがとう。それならお言葉に甘えて、君の仕事がオフの時に、お茶でもつき合ってもらえるかな?』

するとすぐに返信が来た。

『はい!もちろんです。よろしくお願いします。透さんは土日休みですか?私の次のオフは今週の日曜なのですが、いかがでしょうか?』

『今週の日曜ね。大丈夫です』

詳しいことは前日に連絡することにして、その日のやり取りは終わった。
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