極上の彼女と最愛の彼 Vol.2 〜Special episode〜
第十二章 心からの祝福
「ええええー?!けけけ、結婚?!」

アートプラネッツのオフィスに、野太い男3人の声が響き渡る。

透がサラリと結婚すると話すと、大河も洋平も吾郎も、椅子から落ちそうになるほど仰け反って驚いた。

「透、お前、いつの間に?いや、ちょっと待て。相手は誰だ?まさか…」

アリシア、とか言わないだろうな?と、大河は恐怖に怯える。

「相手はね、ア…」
「ギャーーー!!」

両手で頭を抱えて絶叫する大河に、3人は、うるさい!と睨みを効かせる。

「声が、声が枯れた…」
「こっちは鼓膜が破れそうになったぞ。それで?透。相手は誰なんだ?」
「うん、アリシア…」
「ヒーーーッ!!嘘だろーー!?」

またもや「うるさい!」と皆は大河を睨む。

「アリシアの事務所の後輩で、由良 亜由美ちゃん」

……へ?と、気の抜けた返事をする大河を尻目に、そうか!と洋平と吾郎が喜ぶ。

「千秋さんと瞳子ちゃんの事務所の子か。いい子なんだろうな」
「うん。めちゃくちゃ可愛いよ」
「あはは!出たよ、透のゾッコン節」
「でも良かったな、透。瞳子ちゃんが結婚して落ち込んでないか、心配してたんだけど」

洋平の言葉に、吾郎も頷く。

「そうだよ。もう『アリシアに首ったけ』ってドラマが出来そうな勢いだったもんな」
「あはは!前にも言っただろ?アリシアは俺のスーパースターだよ。現実の世界とは違う存在なんだ」
「なるほど。で?現実のお前がゾッコンになった子は、いつ紹介してくれるんだ?」
「明日、ミュージアムのプレオープンイベントの件で、千秋さんとアリシアがMCの打ち合わせに来てくれるだろ?もし良かったら、彼女も同席してもいいか?」
「ああ、もちろん。これから夫婦揃ってのパーティーにも出席してもらったりするだろうから、彼女にもアートプラネッツのこと、知ってもらいたいしな」
「うん、分かった。じゃあ明日紹介するね」
「おう!楽しみにしてるぜ」

吾郎がポンと透の肩に手を置く。
そして急にしょんぼりと肩を落とした。

「どうかした?吾郎」
「よく考えたら、俺だけ取り残されたー!ぼっち仲間がいなくなったー!あああ…」
「まあまあ、そう落ち込まずにさ。吾郎だって、きっといい人と巡り合うよ。案外、数ヶ月後には、吾郎も結婚してたりして?」
「くうー!余裕だな、透。そうならなかったら、思い切り愚痴こぼしてやるからなー」

気が抜けて呆然としたままの大河と、さめざめと悲しみに暮れる吾郎の横で、洋平はおめでとう!と満面の笑みで透を祝福していた。
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