甘々とロマンス中毒
元気にしてます。…けど、今日の菖くんは、ピンクブラウンが似合う、笑顔の可愛い女の子と一緒だった。

先週はショートボブの美人な先輩。
昨日は猫目が印象的な2組の一軍女子。

学校ですれ違う度、彼の隣に並ぶ子は違う。

不思議に思い「彼女?」って聞いたら「じゃない」と言われた。続けて「彼女だったこともない」と、爆弾が投下された昨日の放課後。

———遊んでるの?(一応、確認)

———はい

———…つまり、好きじゃないけど、ち…ちゅーとかするんですよね

———ですね

《誠実でスマート》と、女子人気の高い菖くんの『ウラの顔』に、ひっくり返るところだった。


「昨日はご飯お裾分けしてきました(あやちゃんには言わないでおこう)」

「そ。“昨日は”ね」

む。バレちゃった?

「たまにはLINE返せって言って」

「はい、心配してるって伝えておきますね」

「それは言わなくていいよ」

そうなの?


頬杖をついたあやちゃんが、柔らかに眉尻を下げる。静かに頷き、アイスココアを一口含んだ。

あやちゃんと過ごす時間はあっという間で、視線を落とした先のグラスは底が見えかかっている。

楕円を描いた甘いクリーム。崩れて溶けかかった氷。生温いアイスココア。

飲み終わったら、帰らなくちゃいけないんだ。

「(やだな、まだ帰りたくないな)」

もう少し、一緒にいたいって言ったら、あやちゃん困るかな?

それに、最大のミッションも残っている。連絡先を聞くタイミング。…タイミング、とはどこで掴むものなの?
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