甘々とロマンス中毒
「…………っ、うん」

んん〜〜っ!恥ずかしくて言えない。から、呑み込んじゃった。

「今から敬語やめま……やめるね」

「よろしい」

あやちゃんが満足そうに口元を緩ませた。

私の心臓は、あやちゃんのことになると、ドキドキしたり、きゅんと甘い音を鳴らす。
たまに、悲しくなることもあれば、さっきみたいに、むーってなるから忙しい。


「………続きは、いつか、ね…?(そのときがきたら)」

「いつでもどーぞ。俺、こう見えて“待て”されんの嫌いじゃないよ」


今は静かな熱に覆われ、しとしとと鼓動が大きくなっている。


「あやちゃん。私ね、高いとこも暗いとこも、もう平気になったよ。辛いのは今も苦手だけど、玉ねぎ食べれるようになったの」


黒縁の丸い眼鏡は高校入学と同時にコンタクトに変わり、真っ黒だった髪も、深みのあるブラウンカラーになった。


「そっか。一咲、逞しくなったな」

うん。私、もう子どもじゃないよ。


瞬間、肩の力がすっと抜ける。
昨日は、ふわふわ浮き立つ気持ちと緊張で、夜なかなか寝付けなかったの。

わ…ダメだ。胸がいっぱいで眠気に襲われて、瞼は重くて、とろんとしちゃう。あやちゃんに寝顔見られるのイヤ。

———…睡魔に負けたくなかったのに、落ちるように目を閉じてしまった。
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