甘々とロマンス中毒

もしもし、あなたが初恋ですか?

この光景は、私が5歳だった頃の記憶。

𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃♡

「菖くんと幼なじみなんだよね?」

今日ね、さくら組の千花(ちか)くんに聞かれたの。

お絵描き途中だったクレヨンを置いて、私は千花くんににこっと笑った。

一咲は人見知りだけど、ママと練習したとおり、ちゃんと千花くんの目を見てお話ししたよ。


「うん、幼なじみでお友だち(…だけど、どうしたの?)」

「……ふーん。いいな、僕も一咲ちゃんの幼なじみになりたい」

「千花くんも一緒じゃないの?」

「僕は友だちって菖くんに言われた」

「エエッ」

「一咲ちゃんの幼なじみは、菖くんと、菖くんのお兄ちゃんだけなんだって」


きょとんと目を丸くして、言葉に躓く私。

「ずるいよね」と呟く千花くんは、拗ねているようにも見えた。その間も、私はずうっと固まってる。小さな口は、ぽかーんと開いた状態で。

千花くんは、そんな私を見て口を尖らせる。

「あの…っ」と言いかけたけど、千花くんに届いてなかったのかもしれない。
サッカーボールを抱えて、先生たちのとこに走って行っちゃった。

お友だちだけど、幼なじみにはなれないの……なんで?

お友だちと幼なじみは違うの?菖くんの言ったこと、むずかしい。
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