甘々とロマンス中毒
だから、お家に帰ってママに「幼なじみって、なあに?」そう聞いたら「小さいころから、仲の良いお友だちのことだよ」って、教えてくれた。


「(小さいころ…赤ちゃん?一咲が赤ちゃんだったとき…ってことかなぁ)」


早く背が大きくなりますようにって、お願いしながら牛乳を飲んだ。一咲の背がいっぱい伸びたら、足が速くなって、あやちゃんの後ろを走っても、すぐ追いつくからだよ。それにね、こてんって転ばなくなる。

ホットケーキを食べながら、もう少しママに質問したの。


「一咲と、あやちゃんと、菖くんー?」

「うん。一咲が生まれたときから、ずっとだよ」

「え〜〜………ソウナンダ」


甘い蜂蜜がたっぷりかかったホットケーキを、口いっぱいに頬張った。

ぷくっと、ほっぺたがたこ焼きみたいになる。ママが私の後ろ髪を撫でて不思議そうに聞いたの。


「一咲、おこりんぼ?」

「!!…さみしんぼ」


小さい声で言う。

するとママは「どうしたの?やなことあった?」と尋ねる。ママの優しい眉毛がゆっくり下がる。

ママが笑う顔は悲しそうなのに、かわいい。

唇をむすって尖らせて、ぐたーって机に顔を埋める私より。だってね、とママにお話しした。
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