甘々とロマンス中毒
この間、菖くんのお家で遊んでるときに、新しい写真をアルバムに入れたんだ。私と菖くんが、浴衣を着てかき氷を食べてる写真。

分厚いアルバムのページを捲っていたら、0歳の菖くんを発見。ぴこんって私の頭に閃きが宿る。


「一咲ね、お姉さんになるんだよ。妹ができるの〜。ふふ」


えっへん、て胸を張った。菖くんにナイショのお話をしたつもり。

「あやちゃんにも、まだヒミツね。一咲、あやちゃんのことびっくりさせるの」って、指切りしようとしたら、菖くんは言ったの。

「うん。知ってるよ、一咲ちゃんおめでとう」ふつーな返事だった。

もっと「わ〜〜」とか「え〜〜っ!」って驚かせたかったんだけどなぁ。


「……エ。ええ〜〜っ、どうして菖くん知ってるの!?一咲、誰にも言ってないんだよ?」

「お兄ちゃんから聞いた。お兄ちゃんは、一夏(いちか)くんから聞いた」


あやめくんは、あやちゃんから聞いて。
あやちゃんは、私のお兄ちゃん(※私と2つ離れてるよ)から聞いたんだって。

むぅ…お兄ちゃんに先越されちゃった〜。

ほっぺを膨らませて項垂れてると、扉が開く音がした。「うわ〜あっつい。喉渇いた」と、声がする。猫さんみたいに私の耳がぴくって反応した。

私の王子さま、雪村あやみくんが学校から帰って来たんだ。


「お兄ちゃん、おかえり」

「ただいま〜」

私に気づくと瞳を柔らかく細めた。

「一咲ちゃん、こんにちは」

「こっ、こんにちは。あやちゃん、おかえりなさいっ!」

「うん。ただいま」

私にも、菖くんと同じ言葉をくれた。胸がぽかぽかあったかい。あやちゃんが笑ってると、私もつられて笑顔になる。
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